2014年にリキッド・オセロットによって実行された計画。 その内容は闇の組織「愛国者達」による支配を終焉させ、 その権力をリキッドが引き継ぐというものであった。
ガンズ・オブ・ザ・パトリオット(愛国者達の銃)という名前には、 SOP(ソップ)を始めとしたシステムを乗っ取ることで まさに愛国者達が管理・制御する世界中の力=銃(武器・兵器)を奪い取るという意味が込められていた。 リキッド・オセロットはまず愛国者達の裏をかき、 ビッグシェル占拠事件で破壊されたと思われていたAI「G.W.」を手に入れることで 愛国者達のシステムへの介入に成功、見事SOPを奪い取った。 そしてSOPの掌握に成功したとき、自らの手を銃のような形にして私兵部隊による攻撃を指揮していたが、 それはリキッドの手の中に世界で唯一の"銃"が握られていることを暗示していた。
しかし、リキッド(=オセロット)の真の目的は、 愛国者達の支配をこの世から抹消することで、自らがその権力を手にするつもりはなかった。 だが愛国者達のシステムの管理下にあるオセロットが彼らと真っ向から勝負をしても、 人の無意識化で世界を操る愛国者達の核心に迫ることは不可能であった。 そこでオセロットは別の人間に化けることを思いつく。 彼はシャドーモセス島事件で死亡したリキッド・スネークの人格を自らに移植し、 リキッドに人格を乗っ取られたという"虚構"を世間に浸透させていった。 オセロットは自らをビッグボスのクローンである リキッド・スネークであると自覚し、リキッドが生きていれば歩んだであろう人生を歩んだ。 オセロットは死んだはずのイレギュラーな存在「リキッド・スネーク」を復活させることで 愛国者達の虚を突いたのである。 リキッドが生前に渇望していたことはビッグボスの遺志の実現、つまり 愛国者達を滅ぼして世界中の兵士をあらゆる管理から解き放つことだった。 リキッドが必然的に愛国者達と対立していくことを オセロットは計算していたのだ。 ちなみにこの人格移植においては、人間の意志をコントロールするシステムS3を用いたとされる。
こうしてリキッド・オセロットは誕生したが、それだけではまだ不十分であった。 そこで彼は自らがあえて"悪役"を演じることを思いつく。 「愛国者達の権力を我が物とする」という嘘を宣言したのもこのためである。 これにより必然的に自分がソリッド・スネークと対立するように図ったのだ。 オセロットはこの事態に愛国者達が自分を抹殺するために ソリッド・スネークを利用すること、 そしてこのような状況で自分を窮地に追い込めるのはソリッド・スネークだけであると計算していた。 愛国者達が利用していると思っているスネークを自分も利用することで、 さらに愛国者達の虚を突いたのである。 スネークを誘導するために、 かつてのオセロットのパートナーEVA(エヴァ)もその生命を捧げた。
リキッドは計画の最終段階として、愛国者達の最高権限を持つAI「J.D.(ジョン・ドゥ)」の破壊に乗り出す。 そのため彼は戦艦アウターヘイブンを創造し、そこにG.W.のサーバルームを設置、 さらに愛国者達のSOPが導入される以前の管理されない核兵器である メタルギアREXのレールガンを回収して装備した。 そしてアウターヘイブンから核攻撃によって、衛星軌道上に存在するJ.D.を葬ると宣言したのである。 しかしこれもまた愛国者達の裏をかくフェイクであった。 彼はJ.D.のみならず、世界中にはびこる愛国者達のシステムをすべて抹消しようとしていたのだった。
リキッドはこの計画の最終段階に当たってナオミ・ハンターの力を借りた。 ナオミ・ハンターはリキッドが手に入れた G.W.を中継して愛国者達のAI全てを消滅させるワームクラスターFOXALIVE(フォックスアライブ) を開発し、ソリッド・スネークがリキッドの世界支配という嘘の目的を阻止するために ワームクラスターをG.W.へ流しこむような状況を作り上げた。 しかしこの時、先にも述べたようにあくまで愛国者達にはソリッド・スネークを利用していると思い込ませることが重要だった。 そこでナオミは「G.W.を破壊するためだけのワームクラスター」という嘘の情報を スネークに伝え、愛国者達に真意を悟られないようにした。 G.W.のみが破壊されることは愛国者達にとっては都合の良いことであったため妨害を避ける事が出来たのだ。 そして結果として愛国者達は完全に欺かれ、ついにこの世から姿を消すのであった。 これは同時に、ビッグボスの遺志である、何者にも力が管理されない世界「アウターヘブン」を実現させた。
ソリッド・スネークは結果として利用されただけであったが、 この役割を見事に全うできるような存在は彼しかいなかった。 スネークがボロボロになりながらも最後まで諦めずに戦えたのは「罪滅ぼし」の思いからだった。 自分たち蛇の血統が戦う中で生み出してしまった多くの罪を次の若い世代に遺してしまうことが、彼には耐えられなかった。 スネークは自分の親(ビッグボス)や兄弟(リキッド、ソリダス)の罪でさえ、 自分の罪として引き受けていたのである。 そんなスネークは結果として戦いに死ぬことはなく、愛国者達が消滅した世界で人として生きる権利を手に入れることができた。 彼は蛇の一族たちが渇望していた「自由」を唯一手にすることができたのである。
この一連の事件はザ・ボスの死から50年にも渡って世界に影を落としてきた"呪い"をこの世からついに消し去った。 皮肉なことに、愛国者達がその行動を操っていたと思っていた リキッド・スネーク、ソリダス・スネークによるテロ行為、 そしてソリッド・スネークの活躍は、愛国者達自身を終焉させるためのステップとなった。 ザ・ボスに魅せられた ビッグボスとゼロが犯した誤ちから生まれた時代を終焉させ、 さらにビッグボスの遺志「アウターヘブン」を実現したのは 他ならぬビッグボスの息子であるスネーク、リキッド、ソリダス、 そしてザ・ボスの息子であるオセロットだったのである。