メタルギア(METAL GEAR)は、1987年にコナミから発売されたMSX2用ステルスゲームで、 メタルギアシリーズの第1作目。シリーズの生みの親であるゲームデザイナー”小島秀夫”氏のデビュー作であり、 ”小島秀夫監督作品”の一つとして数えられる。 ストーリー的にも正史シリーズの1作目であると同時に、 世界観を分ける外伝作品においても本作の内容を踏襲している場合があり、 全シリーズの原点とも言える作品となっている。 後に様々なプラットフォーム向けに移植が行われている。
タイトル | メタルギア(METAL GEAR) |
開発元 |
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発売元 | コナミ |
ゲームデザイン | 小島秀夫(監督、プロデュース) |
プログラム[注] |
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美術[注] |
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音楽[注] |
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ジャンル |
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プレイ人数 | 1人 |
プラットフォーム |
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発売日[注] |
MSX2
携帯アプリ
PlayStation 2[注]
i-revoゲーム(Windows)
バーチャルコンソール(Wii)
PlayStation 3、Xbox 360[注]
PlayStation Vita[注]
Xbox One
Windows(GOG.com)[注]
Nintendo Switch、PlayStation 5|4、Xbox Series X/S、Steam(マスターコレクション)
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対象年齢 | CERO:A(全年齢対象)[注] |
公式サイト | https://www.konami.com/mg/archive/mg/(移植版/2021年現在) |
次作 |
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1987年にMSX2用ゲームソフトとして発売された、メタルギアシリーズ最初の作品。 シリーズの生みの親であるゲームデザイナー”小島秀夫”氏がコナミに入社して初めて手掛けたゲームソフトであり、 1作目の”小島秀夫監督作品(A HIDEO KOJIMA GAME)”として数えられる。 スペック的な制約の多いMSX2というハードで戦争ゲームを作るという条件のもと、 多くのキャラクターや銃弾が同時に画面に現れなくても成立するゲーム性が求められ、 逆転の発想として『敵に見つからないように潜入する』というゲームデザインが誕生した。 2Dのシンプルなドットグラフィックによる演出ながらも、そのステルスゲームのエッセンスが凝縮され、骨組みがすでに確立されている。 2008年には『ステルス要素を完全に取り入れた最初のビデオゲーム』として ギネス世界記録『GAMER'S EDITION 2008』に認定されている[注]。 後に様々なプラットフォームへの移植が行われている(詳しくは後項『ゲームソフトバリエーション』を参照)。
1980年代の後半、南アフリカの奥地に『OUTER HEAVEN(アウターヘブン)』と呼ばれる武装要塞国家が築かれる。 やがて、NATO(北大西洋条約機構)はそのアウターヘブンにて戦争史を塗り替えるほどの恐るべき殺戮兵器が開発されていることを突き止める。 事態を重く見た軍部は特殊部隊『FOXHOUND(フォックスハウンド)』に出動を要請。 FOXHOUND総司令官の”ビッグボス”は部隊の優秀な隊員”グレイ・フォックス”をアウターヘブンへと送り込むが、まもなく消息を絶ってしまう。 彼は最後の連絡で、アウターヘブンの最終兵器が『メタルギア』と呼ばれていることを言い残していた。
これを受け再びFOXHOUNDに出動要請が下ると、 ビッグボスは部隊の新人隊員”ソリッド・スネーク”をアウターヘブンへと送り込む。 彼に課せられた任務は、グレイ・フォックスの消息を追い、 そして最終兵器メタルギアの正体を突き止め、これを破壊すること。 スネークにとって初の単独潜入ミッション『OPERATION INTRUDE N313(オペレーション・イントルード・N313)』が幕を開ける。
人物名をクリックするとネタバレを多く含むページへと移動するため、ゲームを未プレイの方は要注意。
移植版で名前が変更された人物については変更後のものを記載し、 カッコ書きでオリジナル版(MSX2版)の名前も補足している。 移植版の種類と内容については後項『ゲームソフトバリエーション』を参照。
本作『METAL GEAR』は正史シリーズの第一作目であると同時に、 世界観を分ける外伝作品においても前日譚として踏襲されているため、 それぞれにおける繋がりについて解説する。 本作単体ではストーリーにおける背景や時期などが詳細に語られていないため、 各世界線によって異なる解釈が行われている。 なお、『メタルギアシリーズの繋がり』のページも合わせて参照のこと。
本作の正当な続編として1990年に発売した『メタルギア2 ソリッド・スネーク』、 そして1998年に発売した『メタルギアソリッド(以下、MGS1)』に始まる『メタルギアソリッドシリーズ』と、 小島秀夫氏がゲームデザインを手掛けた全てのメタルギア作品(小島秀夫監督作品)にはストーリー的な繋がりがある。 これがいわゆる正史シリーズの中核を構成しており、 本作『METAL GEAR(以下、MG1)』はその第一作目として数えられている。
この正史シリーズが進むに従って、 MG1で描かれた内容について次第に”肉付け”が行われている。 後の作品において、MG1で描かれた事件は『アウターヘブン蜂起』と呼ばれ、事件が発生した時期は『1995年』とされた。 また、このアウターヘブン蜂起が発生するに至った背景や登場人物たちの関係性についても、シリーズが進むにつれて 真相が明らかにされるという形で次第に詳細化されていくこととなった。 事件の詳細や他作品との時系列的な繋がりについては 用語事典の『アウターヘブン蜂起』のページや 『正史シリーズにおける時系列と年表』のページ等で解説しているが、 シリーズをプレイしていない場合には重大なネタバレが含まれるため注意。
2000年に発売された『メタルギア ゴーストバベル(以下、MGGB)』は 正史シリーズとは世界線を分けた外伝作品であるが、 同作では正史シリーズの第一作目である『METAL GEAR(以下、MG1)』の『7年後』のストーリーが描かれている。 だがあくまで他の正史シリーズとは繋がりを持たず、MG1から別の世界線に分岐する形となっている。 その後、2004年に発売された『メタルギアアシッド』、 および2005年に発売された『メタルギアアシッド2』は MGGBの続編となっている(MGGB・MGAシリーズ)。
なお、こちらの世界線ではMG1の事件について『アウターヘブン蜂起』のような呼称は登場しておらず、 事件が発生した年号も明確化されていない。 MGGBの舞台は『21世紀初頭』とされ、 アウターヘブンでの事件はその7年前と語られているため、 正史シリーズと同じく1990年代であると推測される。
日本国内版のゲームソフトのバリエーションを紹介する。 本作は様々なプラットフォームへの移植が行われており、 大きく分けると内容の異なる4タイプが存在するため、それらについても分類して解説する。
なお、同名のファミリーコンピュータ向け作品については 後項『メタルギア (ファミコン版)』を参照。
オリジナル版の発売から17年後の2004年に『コナミネットDX』にて配信された携帯(ガラケー)アプリ向けの移植版。 コナミネットDXのサービス終了に伴って新規購入ができなくなっている(2021年現在)。 オリジナル版との違いは後項で解説。
純粋な移植版ではなく、新規要素の追加や遊びやすさに配慮した変更が行われていることから 公式のプロモーションで”復刻”という表現が使われている。 本ページでは便宜上、後項『復刻版』で扱うバージョンとは棲み分けするが、 この携帯アプリ版が復刻版のベースとなっている。
オリジナル版からの変更点は主に以下の通り。
2005年に発売されたPlayStation 2用ソフト『メタルギアソリッド3 サブシスタンス(以下、サブシスタンス)』に付属的に収録され、 後に複数のプラットフォームでプレイ可能となった移植版。 いずれの商品形態でも続編『メタルギア2 ソリッド・スネーク(1990年発売/以下、MG2)』の復刻版とセットになっている。
復刻版は前項で解説している『携帯アプリ版』がベースとなっており、 基本的には携帯アプリ版におけるオリジナル版からの変更点をすべて踏襲した上で、 家庭用ゲーム機向けに操作方法が調整されている。 またそれに加え、ボスキャラクターへダメージを与えた際に鳴る効果音など、 一部の効果音が続編であるMG2と同じものに変更されている。
2021年現在、単体での販売はない。復刻版が収録されている作品は以下の通り。
プラットフォーム |
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備考 | 『メタルギアソリッド3 スネークイーター(以下、MGS3)』の新規要素追加版。 追加要素の1つとしてMG1、MG2の復刻版が収録。 MGS3本編とはディスクが分かれている。 |
プラットフォーム |
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備考 | 上記のMGS3新装版と同内容のゲームディスクが収録されている。 |
プラットフォーム | PlayStation 3 |
備考 | 上記の『メタルギアソリッド HDエディション』の PlayStation 3版が収録されている。 |
2006年にPC向けサービス『i-revoゲーム』で配信された移植版。 携帯アプリ版、復刻版のような内容の変更はなく、 オリジナル(MSX2)版の内容をなるべくそのままの形で再現した純粋な移植版となっている。
2021年現在、配信元のサービスが終了しているため新規の購入はできなくなっている。
2009年に任天堂の『バーチャルコンソール』でWii向けに配信された移植版。 『i-revoゲーム版』と同様にMSX2版の内容がなるべくそのままの形で再現されているため 基本的に内容の変更はないのだが、 携帯アプリ版、復刻版における『登場人物(キャラクター)の名前変更』だけが適用されているという 特殊な移植版となっている。
2021年現在、Wii向けのサービスが終了しているため、新規の購入はできなくなっている。
2020年に海外のゲームダウンロード販売サービス『GOG.com』において 本作のWindows向け移植版が発売された。5ヶ国語に対応しているが日本語版は存在せず、 日本国内からは購入も不可能となっている。 詳細は未調査だが、公式サイトを見る限りオリジナル版ではなく 復刻版と同等の内容のようである[注]。
2023年に複数の現行プラットフォーム向けに発売された メタルギアシリーズの移植版コレクション『メタルギアソリッド マスターコレクションVol.1』に 本作『メタルギア』も収録された。
プラットフォーム |
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ゲーム本編は『復刻版』と同等のバージョンとなっているが、ストーリーや ゲームの攻略情報が掲載された様々なデジタルコンテンツもあわせて収録されている。
MSX2版『メタルギア』と同年、 その”ファミリーコンピュータ”向けの移植作品として同名ゲームが発売されている。
プラットフォーム |
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当時は人気ハードへの”移植”という形で開発され、 大枠のストーリーは原作を踏襲しているものの、 内容に多くの変更が加えられているため実質的に『同名の別作品』のような作品となっている。 原作のゲームデザインを手掛けた”小島秀夫”氏も開発に関わっていない。 ややこしいが、もともと移植作品であるこのファミコン版の移植版もいくつか存在する。
その他、詳細は『メタルギア(ファミコン版)』のページを参照。
スタッフの名前について、本編のエンドクレジットではアルファベット表記になっている。 内2名の漢字表記については、公式資料ではないが、 テレビゲーム開発スタッフについてまとめている個人サイト『GameStaff@wiki』の コナミのページの 『開発3課 (1983~)』の項目を参照(2020-12-25現在)。 内1名の漢字表記は不明のためそのまま記載。
スタッフの名前について、本編のエンドクレジットではアルファベット表記になっている。 内2名の漢字表記については、公式資料ではないが、 ユーザー編集系辞書サイト『Wikipedia』の『コナミ矩形波倶楽部』のページを参照 (2020-12-25現在)。 内1名の漢字表記は不明のためそのまま記載。
PlayStation 2版の発売日は、厳密には本作の復刻版が付属的に収録された 『メタルギアソリッド3 サブシスタンス』の発売日となる。 北米(北アメリカ)についてはアメリカ合衆国(US)における発売日、 欧州(ヨーロッパ)についてはイギリス(UK)における発売日をそれぞれ目安として記載している。
日本(JP)、アメリカ合衆国(US)については 同作の旧公式サイト(WaybackMachine)の 各言語圏向けページの『最新ニュース(LATEST NEWS)』に記載あり(2021-01-24現在)。 イギリス(UK)については ショッピングサイト『Amazon(イギリス向けサイト)』の 商品ページ(2020-12-22現在)を参照。
PlayStation 3版、Xbox 360版の発売日は、厳密には本作の復刻版が付属的に収録された 『メタルギアソリッド HDエディション』の発売日となる。 北米(北アメリカ)についてはアメリカ合衆国(US)における発売日、 欧州(ヨーロッパ)についてはイギリス(UK)における発売日をそれぞれ目安として記載している。
日本(JP)については 同作の公式サイト(2020-12-23現在)に記載あり。 アメリカ合衆国(US)、イギリス(UK)については ショッピングサイト『Amazon』の各国向けサイトの商品ページ( US、 UK /2020-12-23現在)を参照。
PlayStation Vita版の発売日は、厳密には本作の復刻版が付属的に収録された 『メタルギアソリッド HDエディション』の『Vita版』の発売日となる。 北米(北アメリカ)についてはアメリカ合衆国(US)における発売日、 欧州(ヨーロッパ)についてはイギリス(UK)における発売日をそれぞれ目安として記載している。
日本(JP)については 同作の公式サイト(2020-12-23現在)に記載あり。 アメリカ合衆国(US)、イギリス(UK)については ショッピングサイト『Amazon』の各国向けサイトの商品ページ( US、 UK /2020-12-23現在)を参照。
公式サイトの商品ページ(WaybackMachine)より(2021-01-13現在)。 なお、Webアーカイブではない元のページは日本国内からはアクセス不可となっている。
CEROが設立されたのは2002年のため、 それ以前に発売した本作のオリジナル版には認定はない。 記載しているものはバーチャルコンソール版に対する認定である (コナミの商品紹介ページ(2020-12-25現在)を参照)。
Nintendo Entertainment System(ニンテンドーエンターテインメントシステム)は、 日本で1983年に発売されたゲーム機『ファミリーコンピュータ』をベースに 筐体の変更が施されて数年後に海外で発売されたゲーム機。通称『NES(ネス)』と呼ばれる。 ソフト(カセット)に互換性はなく、いずれかでしか発売されていないソフトもあるため実質的には別のゲーム機であるが、 日本のファミコンでヒットした有名タイトルがNESでも多くリリースされており、 日本においては『海外版のファミコン』と認知されることが多い。 日本のファミコンと同様に大ヒットし、当時の北米におけるテレビゲーム市場を活性化させた。