恐るべき子供達計画(仏語:Les Enfants Terribles[※1])は、 アメリカの非政府諜報機関『サイファー』(後の愛国者達)が1972年に始動させた計画で、 その内容は20世紀史上最強の兵士ビッグボスの存在を永遠とするため、彼のクローンを創造するというものだった。 この計画によりビッグボスと同じ肉体を受け継いだ人物が誕生した。 それがソリッド・スネーク、リキッド・スネーク、ソリダス・スネークである。
サイファー(ゼロ)がこの計画を実施した目的は、 サイファーのメンバーであり組織の象徴(カリスマ)であったビッグボスが 次第にゼロに対する反発を強めていたため、 保険としてビッグボスにも知らせず彼のクローンを生み出し、組織の新たなカリスマとすることにあった。 ビッグボスはかねてから人間の複製技術に対し否定的な意見を持っていたこともあり、 この計画の実施がゼロとビッグボスの対立を決定的にした。
計画はバイオビジネスの大手企業『ATGC』資本によって実施され、 中心人物となったのは同社の幹部であり同時にサイファーの構成員でもあったクラークという女性科学者。 計画が始動した1972年にはソリッド、リキッドの双子のビッグボスが誕生している。 ビッグボスの体細胞を使用した人工授精の際、ソリッド・スネークを生み出すための卵子は クラーク博士の助手の日本人女性のものが使用された(リキッドに関しては不明)。 そのためソリッド・スネークの身体には日本人の血が少なからず流れている。
このように人工的に創りだしたクローンの受精卵といえども、ヒトに育てるためには女性の身体が必要であった。 このとき、同じくサイファーのメンバーであったEVA(エヴァ)が代理母(サロゲート・マザー)として志願した。 この協力は、EVAがビッグボスに恋心を抱いていたためである。 そして受精卵は彼女の子宮へと移され、やがて2人のビッグボスが出産された。 よってソリッド・スネークとリキッド・スネークは EVAが血を分けた存在でもあるが、受精卵はEVAの体外で作り出されたものであるため、 2人にEVAの遺伝的素質は受け継がれていない。
この2人のクローンははじめから軍事利用が目的であったため 他の組織や軍にその力が利用されることがないように 生殖能力を奪われ、また寿命を遺伝的に設定されて生み出された。 ソリッド・スネークは40代になった頃に身体が急激に老化を始め、老人のような風貌になってしまった。
計画は始動から4年後の1976年に破棄されている。後の歴史ではこの計画は"失敗"と評されることが多いが、 その過程で産み出された人物の生き残りとして、先の2人以外にはソリダス・スネークが挙げられる。 彼はソリッド、リキッドとは別時期に誕生し、 生殖能力を奪われる以外には余計な遺伝子操作が行われていないため、 DNAの塩基配列がビッグボスとほぼ完全に一致する本当の意味でのクローン(複製)であった。 それ故彼は『均整の取れた傑作』と評され、サイファーの管理下でアメリカ合衆国大統領を任せられるまでに上り詰めた。 しかし彼はビッグボスにより近い肉体を持って産まれた反面、 計画が実施された当時40歳前後のビッグボスのテロメア(生命活動の中で短縮し、細胞老化の起因となる染色体の構成要素)を そのまま受け継いで産まれたため、先の2人よりも老化の進行が早かった。
この計画の名前はフランスの詩人ジャン・コクトー氏が書いた小説のタイトルが元になっており、 メタルギアシリーズの作中でも度々フランス語表記である『Les Enfants Terribles』が登場する。 作中では英語読みに近い『レス・エンファントス・テレブレス』、またフランス語読みに近い『レ・アンファン・テリブル』あるいは単に『アンファン・テリブル』と読まれている。 フランス語読みではリエゾン(前後の単語をくっつけて読む場合にのみ新たな音が生まれること)が発生するため 『レザンファンテリブル』が本来の発音に近い。 しかし、そもそもカタカナで表現した時点でそれはもはやフランス語でも英語でもなくただの日本語に過ぎないため、分かりやすさが優先される (英語の『line up』が『ライナップ』『ラインアップ』『ラインナップ』など様々表記されるのと同様)。 作中では『アンファン・テリブル』と読む場合とで分かりづらくならないよう『レ・アンファン・テリブル』という読み方が用いられているのだと思われる。