メタルギアソリッド ポータブル・オプス(METAL GEAR SOLID PORTABLE OPS)は、2006年にコナミから発売されたPlayStation Portable用ゲームソフト。 略称”MPO”。 ”メタルギアソリッド”シリーズで初の携帯用ゲーム機向けの作品。 従来のアクション性を踏襲しながらも、 仲間集めと部隊編成、通信対戦モードなどといった携帯機ならではのシステムが多く盛り込まれている。 特にマップがステージ制で、仲間にした兵士をすべてプレイヤーキャラクターとして操作できることが大きな特徴である。 ”小島秀夫”氏が監督を務めていないものの、 ストーリー的に”小島秀夫監督作品”と繋がりを持つ ”スピンオフ作品”という位置づけになっており、 シリーズでおなじみのキャラクターが多く登場するなど、ファンにはプレイ価値の高い内容になっている。
なお、本作に収録されている通信対戦モードについては 『MPO/MPO+ 通信対戦モード』のページで別途詳しく解説している。 また、本作で使用できるプレイヤーキャラクターの一覧は 『MPO/MPO+ 兵士一覧』のページに掲載している。
タイトル | メタルギアソリッド ポータブル・オプス(METAL GEAR SOLID PORTABLE OPS) |
開発元 |
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発売元 | コナミデジタルエンタテインメント |
ゲームデザイン |
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脚本 |
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美術 |
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音楽 |
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プレイ人数 |
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プラットフォーム | |
発売日 |
パッケージ版[注]
ダウンロード版[注]
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対象年齢 | CERO:C(15才以上対象) |
公式サイト | https://www.konami.com/games/jp/ja/products/mpo/(2021年現在) |
前作 |
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次作 |
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2006年にPlayStation Portable専用として発売されたゲームソフト。 ”メタルギアソリッド”シリーズで初めての携帯用ゲーム機向けの作品である。 本作は”小島秀夫”氏が監督を務めていないが、 ”小島秀夫監督作品”とストーリー的な繋がりを持つ ”スピンオフ作品”という位置づけになっている (詳しくは後項『他作品との繋がり』を参照)。
本作のゲームステージにおけるグラフィックは 『メタルギアソリッド3 スネークイーター(2004年発売/以下、MGS3)』を強く踏襲しており、 特にキャラクターのグラフィック、モーションに関してはMGS3と非常に雰囲気が似ている。 操作性に関しても、ハードに合わせて最適化されているもののMGS3と共通する部分が多い。 そのため本作はMGS3をプレイしたことのあるユーザーが違和感なく没入できる内容になっている。 なお、MGS3の拡張版である『メタルギアソリッド3 サブシスタンス(2005年発売)』で追加された 『3Dカメラ』も本作で採用されている。
全体的なゲーム性に関しては、本作独自の要素が非常に多い。 最も特徴的な点が、仲間を集める”部隊編成”の要素が加わり、 ストーリーテリング上ではおなじみの”スネーク”が主人公であることに変わりはないが、 仲間にしたすべての兵士/非戦闘員もプレイヤーキャラクターとして操作することができるという点である。 また、潜入マップがステージ制になっていることも大きな特徴である。 その都度課せられるミッションと、時にはプレイヤーの判断によって 適宜各ステージへと出撃し目的を達成していくことで 部隊強化とストーリー展開を進行させていくということが本作のゲームデザインの柱になっている。 ステージへは最大4人のチームで出撃するようになっており、自由に操作キャラの変更が可能。 敵陣に対する”諜報活動”もゲーム性に組み込まれており、シミュレーションの側面も強い。 ”仲間集め”に関しては、 気絶させた敵兵を”輸送トラック”まで運搬することで仲間にできるというユニークなアクションになっている (その他にもいくつかの方法がある)。 また、各兵士に固有の能力が設定されていることによるゲーム性も多く盛り込まれ、 ”死亡”した兵士は本当にいなくなるというシビアな仕掛けもある。 ちなみに、”部隊編成”は、後項で紹介する『通信対戦』モードが 本作の主要なコンテンツであることにも繋がっている。
ストーリーに関しては、 謎の巨大兵器、超人的な能力を持った個性的なボスキャラクター、史実を踏まえた舞台設定など、 過去の”メタルギアソリッド”シリーズでおなじみの要素が押さえられており、 シリーズファンが楽しめる王道のようなシナリオになっている。 主人公と敵が特殊部隊の元隊員と現役隊員であり、 お互いに”蛇”を意味するコードネームを持っているという対立構造は、 シリーズの第1作目『メタルギアソリッド(1998年発売)』を彷彿とさせる。 過去のシリーズのキャラクターが意外な形で登場するファンサービスも多く盛り込まれている。
また、本作のデモシーンはハード的な制約からか、 リアルタイムポリゴンデモではなく『メタルギアソリッド バンドデシネ(2006年発売)』のような、 イラストをデジタルアニメーションのように動かす手法が用いられている。 イラストレーションも同じく”アシュレイ・ウッド”氏が担当。 後に同じくPlayStation Portableで発売された『メタルギアソリッド ピースウォーカー(2010年発売)』でも この手法が引き継がれている。 ちなみに本作では、デモシーン以外の会話シーンでは残念ながら音声が付いていないが、 デモシーン中はフルボイスで、ゲームステージ(操作パート)でも各キャラクターの音声を聴くことができる。
『スネークイーター作戦(メタルギアソリッド3 スネークイーター)』から6年後の、1970年。 南米、コロンビア中部沿岸部にある『サンヒエロニモ半島』と呼ばれる地が、 米国CIAの特殊部隊『FOX(フォックス)』によって占拠された。 彼らは米国のとある”軍事機密”を手中に収め、米国に対するクーデターを起こしていたのだった。
FOX部隊が占拠した半島は、かつてソ連が1962年の『キューバ危機』で手放した基地の代わりとして 新たな”中距離ミサイル基地”を建設しようとしていた場所であった。 やがて60年代末からの”緊張緩和(デタント)”の影響で計画は破棄されたが、 現地には建設途中で放棄された軍事基地が残存していた。 このような政治的事情によりサンヒエロニモ半島は、世界地図に正確な地形が記されず、 ”死者の半島”の異名で呼ばれる土地となっていた。 さらに現地には、祖国から見捨てられるように多くのソ連軍兵士たちが取り残されていた。
一方、かつてFOXのエージェントとしてスネークイーター作戦を完遂し 米政府から”BIGBOSS”の称号を与えられた”ネイキッド・スネーク”は、すでに部隊を除隊していた。 だが現役のFOX部隊によるクーデターが発生すると、 スネークは彼らの陰謀により突如として身柄を拘束されてしまう。 やがて彼が目を覚ますと、そこはサンヒエロニモ半島の薄汚れた留置場であった。 さらに彼は、FOXによる反乱の首謀者と誤解され、米国からも追われる身となっていた。 孤立無援でかつて所属した部隊と敵対することとなったスネークは、 現地で捕虜になっていた米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の 隊員”ロイ・キャンベル”と共に反撃部隊を結成。自らの潔白を証明するために、FOX部隊の鎮圧を開始する。
人物名をクリックするとネタバレを多く含むページへと移動するため、ゲームを未プレイの方は要注意。
なお、本作では主人公以外の人物もプレイヤーキャラクターとして操作することができる (後項『プレイヤーキャラクター』を参照)。
プレイヤーがゲーム本編で仲間にした兵士を操作して 他のプレイヤーと様々なルールで対戦を行うモード。最大6人で対戦が可能。 他のプレイヤーと兵士を奪い合う『実戦モード』というモードも用意されている。 ゲームステージで『フルトン回収システム』が登場したのもこのモードが初である。
インターネットを介した通信を行う『インフラストラクチャーモード』では 『メタルギア オンライン』のように ネットワーク上にゲームを作成し不特定多数のプレイヤーと対戦できるシステムが提供されていたが すでにサービスが終了しており、 2021年現在は近くにいるプレイヤーと直接通信を行う『アドホックモード』のみ利用可能となっている。
ちなみに、後項で紹介している『メタルギアソリッド ポータブル・オプス+』は このMPOの通信対戦モードを大きく拡張したモードをメインコンテンツとしており、 MPOで集めた各種要素の引き継ぎも可能となっている。
その他、詳細に関しては『MPO/MPO+ 通信対戦モード』のページを参照。
本作では、ストーリーテリング上の主人公は前項『登場人物』に記している通り ”ネイキッド・スネーク”であるが、 ゲームプレイシーンにおいては、仲間にしたすべてのキャラクターをプレイヤーキャラクターとして操作することができる。 基本的に、ゲームステージ上に存在するすべての敵兵、非戦闘員を仲間にすることができる。 各キャラクターには固有のステータスが設定されているため、得意な武器やCQCの強さなどが異なる。 あらかじめ編成した最大4人のチームを出撃させ、適宜操作キャラクターを切り替えることができる。 これらはゲーム本編(ストーリーモード)と、 前項で紹介している『通信対戦』モードで共通である。
仲間にできるキャラクターの一覧は『MPO/MPO+ 兵士一覧』のページに掲載している。
本作の日本国内版ソフトにおけるキャストを掲載している。 なお、表記と掲載順は ゲーム中のクレジットに準拠している。
また、本作ではデモシーンにおいてのみセリフに音声が当てられているが、 デモシーンにおけるセリフが存在しないキャラクターについても ゲームプレイパートにおいては 攻撃アクション等に対応した音声が収録されている。 以下はそれらのキャラクターも含んだ情報となっている。
掲載の都合上、一部軽微なネタバレを含むため、ゲームを未プレイの方は要注意。
役名 | 声優 |
スネーク | 大塚明夫 |
ロイ・キャンベル | 古川登志夫 |
ジーン | 若本規夫 |
カニンガム | 郷里大輔 |
ヌル | 福山潤 |
パイソン | 屋良有作 |
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ソコロフ | 龍田直樹 |
オセロット | 山崎たくみ |
パラメディック | 桑島法子 |
シギント | 藤原啓治 |
エヴァ | 渡辺美佐 |
ライコフ | 堀内賢雄 |
スコウロンスキー | 稲田徹 |
テリコ[注] | 永島由子 |
ヴィナス | 小松里歌 |
CIA長官 | 佐藤正治 |
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指揮官 | 竹本英史 |
メンテナンスクルー | 森岳志 |
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政府高官 | 今村直樹 |
ゼロ少佐 | 銀河万丈 |
本作は当時、メタルギアの”正史シリーズ”において 最もストーリー的な年代の開きがあった『メタルギアソリッド3 スネークイーター(2004年発売)』と 『メタルギア(1987年発売)』の2作品の間の いわゆる”ミッシングリンク”を埋めるというプロモーションのもとで開発が行われた。 一方で、シリーズの生みの親である”小島秀夫”氏が監督を務めていないため、 ”小島秀夫監督作品”とは棲み分けられつつも それらの作品群とストーリー的な繋がりを持ち、 正史シリーズの一部を構成している ”スピンオフ作品”という位置づけになっている。 基本的に小島秀夫監督作品をプレイするだけで 正史シリーズのサーガは完結する構成になっているが、 MPOでのみ明かされるキャラクターの経歴なども多く登場するため、 ファンにとってはプレイ価値が高い作品になっている。
だが、『メタルギアソリッド ピースウォーカー(2010年発売)』の発売以降、 ストーリー的な繋がりを意識した公式のプロモーションではMPOが除外されることが多くなったため、 ファンの間では本作を正史シリーズの一部と見なすかどうかについて解釈が分かれている。 この点については、『メタルギアソリッド ポータブルオプスは正史作品なのか?』のページで詳しく解説している (ネタバレ注意)。 そこでも述べているが、本WebサイトにおいてはMPOを正史シリーズの一つとして 扱うこととする。
本作で描かれる事件の詳細や他作品との時系列的な繋がりについては 用語事典の『サンヒエロニモ半島事件』のページや 『正史シリーズの時系列と年表』のページで解説しているが、 シリーズをプレイしていない場合には重大なネタバレが含まれるため注意。
日本国内版のソフトのバリエーションを紹介する。 なお、本作を原作とした派生作品に関しては後項『派生作品』を参照。
通常パッケージの他に、様々なグッズがセットになったプレミアムパッケージ、 コナミスタイル限定版も同時発売している。
特別仕様のPlayStation Portable本体がセットになっており、 他にも様々な特典(後述)が付属している限定版。 以下、ゲームディスクの内容は『通常パッケージ』と同じであるため、 プラットフォームとメディアは省略する。
付属している特典は以下の通り。
またゲームソフトのパッケージデザインも通常パッケージと異なる。
コナミの公式ショッピングサイト『コナミスタイル』で2500個限定で販売された商品。 基本的な内容は『プレミアムパック』に近いが、 ボックスと一部の特典が特別仕様になっている(後述)。 以下、ゲームディスクの内容は『通常パッケージ』と同じであるため、 プラットフォームとメディアは省略する。
付属している特典は以下の通り。
収納ボックスが、前面(ロゴ印刷面)が大きく開くような特別仕様になっており、 蓋の裏側に”生頼範義”氏が描いたイラストが大きく印刷されている。 このイラストは後に『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット(2008年発売)』の ゲーム本編でも使用されている。 また、PSPケースとストラップに関しては、本物の蛇皮であることを証明する シリアルナンバー入りの認定書も添付されている。 ゲームソフトのパッケージデザインはプレミアムパックと同じ。
廉価版という形で複数回パッケージデザインを変えながら本作が再発売されている。 以下、『オリジナル版』とゲームディスクの内容は同じため、 プラットフォームとメディアは省略する。
また、2007年にメタルギアシリーズの20周年を記念して発売した以下のセット商品にも 本作のゲームディスクが収録されている。 上記の『METAL GEAR 20th ANNIVERSARY』版はその際に同時発売した単体バージョンである。
また同じく2007年に、後項で紹介しているMPOの対戦モード特化作品 『メタルギアソリッド ポータブル・オプス+(以下、MPO+)』が発売した際、 MPOとMPO+の2本をセットにした『デラックスパック』も同時発売された。
備考 | スリーブケースに2作品のディスクケースがまとめられている。 MPOのディスクケースのデザインはオリジナル版と同じ。 |
MPOからストーリーモードを廃止し、 部隊強化や『通信対戦』モードといった ゲームとしてのやりこみ要素を大幅に拡張させた作品。MPOの翌年(2007年)に発売した。 独自のシングルプレイモードも収録されている。
プラットフォーム |
操作できるキャラクター、武器、ステージ、ゲームルールなどといった様々な要素が大幅に拡張されている。 またMPOのストーリーモードは収録されていないが、 仲間やアイテムなどを集めることができる独自のシングルプレイモード 『インフィニティミッション』が収録されている。 同モードではゲームステージと敵兵、アイテムの組み合わせや配置が毎回自動生成されるため、 半永久的に潜入ゲームが楽しめるという点でもプレイ価値が高い。
その他、詳細は『メタルギアソリッド ポータブル・オプス+』のページを参照。
日本版は本作の公式サイトより(2021-01-30現在)。 北米版は、ゲーム情報サイト『IGN』の作品紹介ページより(2021-01-30現在)。 欧州版は目安として、ショッピングサイト『Amazon』のドイツ(DE)向けサイトの 商品ページを参照(2021-01-30現在)。
本作には、 過去に発売した外伝作品である『メタルギアアシッド(2004年発売)』、 『メタルギアアシッド2(2005年発売)』に登場していた キャラクター”テリコ”がゲームプレイパートにおいてのみ登場し、 声優の”永島由子”氏による音声が収録されているが、 原作ではテリコに音声は付与されていなかったため、本作で初めてキャスティングが行われている。