1974年に『力の管理による平和の実現』を目的として実施された計画。『平和歩行計画』。 当初はCIA中米支局長ホット・コールドマンが 自身の思想に基いて立案・実行した計画とされていたが、 実は彼の行動はある陰謀に利用されており、謎の非政府諜報機関「サイファー」が 実行した計画であった。
かつて大戦中の英雄ザ・ボスを抹殺した1964年の スネークイーター作戦を立案した冷戦時代の英雄ホット・コールドマンは 中米支局へ左遷されてからは再び栄光を手に入れる機会を伺っていた。 そんな中で彼は、自身の理論である「人間による核報復の不確実性」、「人工知能による絶対的な核報復」を立証する 完璧な抑止力を世界に解き放ち、名声を手に入れようと考えた。
核報復の決定を罪悪感のある人間が行うということは、確実に核報復が行われるという証明にはならず、 さらにもしかしたら先制攻撃でミサイル基地が破壊されることもあるかもしれない。 そこでコールドマンは核戦争を想定した強靭な兵器に核報復の決定と核発射を任せることで、 「撃ったら確実に撃ち返される」という報復の決定に人間が関与しない状況を作って 誰にも核を撃たせる隙間を与えないという抑止力を作り出そうとしたのだった。
1970年代前半、彼はCIA中米支局長という立場を活かし、AI工学の権威ストレンジラブや ロボット工学の権威ヒューイのような優秀な技術者を取り込み、 さらには裏でKGBのザドルノフの協力を得て、 彼の抑止理論に基づく核搭載兵器「ピースウォーカー」をコスタリカにて開発させた。 ピースウォーカーを完成させるまでの試行錯誤の過程で、 ヒューイの手で ピューパ、クリサリス、コクーン という試作機もつくられた (最終型がピースウォーカーに落ち着いた理由はピースウォーカーの項目を参照)。
そしてピースウォーカーの完成が目前となった1974年某日、コールドマンは 計画の最終段階としてピースウォーカーに搭載するための核兵器をコスタリカに運び込んだ。 彼はピースウォーカーによる核発射を敢行しようとしていた。 その理由は、先に述べたような『核を撃たれたら確実にピースウォーカーは撃ち返す』という事実を世界に証明するためだった。
しかしコールドマンの計画は失敗に終わる。 実は彼が協力者だと思っていたKGBのザドルノフは ソ連側の策略のためにコールドマンを利用していたのだった。 ザドルノフの目的は、中央アメリカの各国をソ連が支配できるように図ることだった。 そのため、CIAが開発した核搭載兵器ピースウォーカーを強奪して、攻撃目標をソ連の同士であるキューバに変更し、核攻撃を敢行しようとした。 また、ザドルノフは現地のゲリラ組織を訓練させ、アメリカに敵対させるために ビッグボス率いる国境なき軍隊(MSF)を現地に呼び寄せていた。 彼の目論見通り、アマンダをはじめとするゲリラたちはビッグボスを救世主と仰ぎ、同時に優秀な兵士に成長した。 しかし最終的にザドルノフはゲリラたちとMSFによって拘束された。
これにより核攻撃は阻止されたかに思われた。しかしザドルノフに銃撃され 瀕死に陥ったコールドマンはその死に際、 自らの理論「人間による核報復の不確実性」をアメリカ政府自身に立証させるために、 ピースウォーカーの起爆コードを入力した。 これによりピースウォーカーはキューバへの核攻撃を敢行すると同時に、 アメリカ合衆国への偽りの核攻撃データを送信しはじめた。 アメリカ政府はこれをソ連からの真の核攻撃と判断、報復の決定を迫られた。
ビッグボスは核攻撃を阻止するためにピースウォーカーとの戦いを繰り広げた。 その結果、ピースウォーカーは戦闘能力を奪われるまでに胴体を損傷し、キューバへの核攻撃は回避された。 しかし、頭脳の部分である「ママルポッド」は破壊されず、アメリカに向けた偽装データは送信し続けたのだった。 これに対し、コールドマンの考え通りにいけば、政府は報復を行わないはずだった。 しかしビッグボスの交渉も虚しく、アメリカ政府は核による報復を決定したのだった。
策が尽きたと思われた時、ピースウォーカーはまるでその人工知能のモデルとなった人物 ザ・ボスの霊魂が宿ったかのような行動を取る。 なんとピースウォーカーは自らの機能を停止させるために歩み始め、海へと沈んでいったのだった。 これにより偽装データの送信もストップし、世界は核戦争の危機から救われた。
しかし、このCIA中米支局長ホット・コールドマンが 起こしたこの一連の事件は謎の非政府諜報機関「サイファー」の策略だった。 サイファーは事件中に国境なき軍隊にスパイである パシフィカ・オーシャンを潜入させていた。 そしてMSFの規模が大きくなったのを見計らってその存在を公にし、 パシフィカ・オーシャンの手でMSFが保有する核兵器 「メタルギアZEKE」によってアメリカ合衆国への核攻撃を敢行し、 それにより生まれる国際世論をMSFのような「管理されない力」が 再び誕生しないようにするための抑止力としようとしたのだった。
しかし、ZEKEによる核の発射はビッグボスの手によって阻止され、 スパイのパシフィカ・オーシャンは海へ転落、消息を絶った。
この一連の事件はビッグボスが多くの兵士たちの上に立って 戦っていくという決意を固める大きなきっかけになった。