ホーリー・ホワイト(Holly White[注])は、メタルギアの正史シリーズに登場する人物で、 フリーランスの国際ジャーナリスト。母親はフランス人で、父親はイギリス人。 テレビ番組のディレクターとしても有名で、 またかつてはファッション誌の専属モデルを務めていたりと、多才な面を持っている。 実は、そういった彼女の地位と名誉を最大限に活かし、CIAの秘密工作員(アンダー・カバー)としても活躍している[注]。
1999年の『ザンジバーランド騒乱』の際には ジャーナリストとして現地へ潜入しており、 FOXHOUNDのエージェント”ソリッド・スネーク”のミッションをサポートした。
名前 | ホーリー・ホワイト(Holly White[注]) |
性別 | 女性 |
国籍 | アメリカ合衆国(U.S.A)[注] |
身長 | 167cm(1999年/MG2)[注] |
所属組織 |
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主な登場作品 | メタルギア2 ソリッド・スネーク |
舞台は1999年。後に『ザンジバーランド騒乱』と呼ばれる事件が描かれる。 米軍の隠密特殊部隊『FOXHOUND』の 『OPERATION INTRUDE F014』によりザンジバーランドへの 諜報活動が開始されるが、ホーリーはそれに先んじて1ヶ月前から現地へ潜入している。 ザンジバーランドには1990年代の後半に軍事政権が樹立し、 同国は世界各地の廃棄用核兵器貯蔵庫を襲撃することで核武装国となり、国際的な非難を受けていた。 彼女はジャーナリストとして取材を行うためザンジバーランドへ潜入しているが、 同時に米国・CIAの秘密工作員(アンダー・カバー)としても活動している。 本作のメインヒロインともいえるキャラクターである。
同年の12月24日、プレイヤーキャラクターであるFOXHOUNDのエージェント”ソリッド・スネーク”は ザンジバーランドにより誘拐された科学者”キオ・マルフ”を救出するため現地へと単身潜入する。 スネークが”ザンジバー・ビル”に潜入すると、ホーリーから無線連絡が入る(周波数は”140.15”、後に”140.76”に変更)。 彼女はスネークに協力する意思を示し、全編を通してプレイヤーのミッションをサポートする。 彼女は過去1ヶ月の取材で得た知識を活かし、主に建物の構造やアイテムの在り処といった ゲームの進行に必要な情報を教えてくれる。
しかし、彼女も独自にマルフとの接触を図るが、 CIAのスパイであるという正体をザンジバーランド陣営に知られ、身柄を拘束されてしまう。 彼女は無線によりスネークに救助を求め、 プレイヤーは、彼女の話す周囲の”音”に関する情報をヒントとして彼女を探索することになる。 やがて、タワービルにて彼女を救出、2人は初めて接触する。 彼女はスネークにマルフの居所に関する情報と要塞のセキュリティカードを提供すると、 『足手まといになる』として再び行動を分かつ。 その際、近頃自らの”評価”(恐らくCIAの工作員としての)が下がっていると話し、 その上敵に捕まるような失態をおかしたことから『このままではおさまらない』と 引き続き単独で情報収集を進める意思を示し、プライドの高さを垣間見せた。 以降も彼女は無線でプレイヤーに情報提供を行ってくれる。 ゲームの終盤には、彼女はCIAの協力により、表向きスネークらに協力していた 科学者”ペトロヴィッチ・マッドナー”が ザンジバーランドに情報を流す二重スパイであるという正体を暴き それをスネークに伝えている。
スネークがミッションを完了しザンジバーランドからの脱出を開始すると、 彼女は再びスネークの前に姿を表す。 その様子から、彼女はずっとザンジバーランドの兵士に変装して潜伏していたようであった。 ちなみにその時、敵兵のフリをしてスネークを脅かす茶目っ気を見せている。 また、『この制服、胸の所がくるしくて』とセクシーアピールも披露していた。 ラストの大勢の敵兵から逃げながら脱出を図るゲームプレイシーンについては彼女を引き連れての行動となる(共闘はない)。 やがてスネークの呼んだ救援ヘリによって保護され、 ホーリーは彼と共に無事生還する。
ちなみに、脱出の際についてくるよう促すスネークに対して 『それっ、プロポーズなの?』と返しており、彼に好意を持っているような素振りを見せている。 また、彼女はスネークと夕食の約束をしていたがすっぽかされている。 それ以降、2人に交流があったのかは不明である。
彼女はフリーランスのジャーナリストとして国際的に活躍している。 ジャーナリストとしては優秀なようで、”アフガン問題”に関する取材により 『ピューリッツア賞[注]』を受賞している。 また、”KTV”というテレビ局のディレクターとしても有名であり、 『知られざる血流』というドキュメンタリー番組を制作し、『エミー賞[注]』を受賞している。
オリジナルのMSX2版MG2から彼女の顔グラフィックが登場しているが、 復刻版MG2において、PS1『METAL GEAR SOLID』から開発に参加したイラストレーター新川洋司氏により キャラクターデザインが一新されている。
復刻版MG2本編では新川洋司氏のイラストをもとにしたドットグラフィックが使用されている (公式サイト(2019-06-16 現在)にも同様のグラフィックが掲載)。 また、PS3ソフト『メタルギアソリッド4 データベース』の 『相関図モード』では本編とは異なる新川洋司氏のイラストが使用されている。 本頁掲載の顔のグラフィックはこれらを参考に作成。
彼女の人物像、経歴についてはMG2本編で語られない。 MG2のユーザーズマニュアル(MSX2版同梱品)や 公式サイト(2019-07-18 現在)、 PS3ソフト『メタルギアソリッド4 データベース』に情報が記載されている。
オリジナルのMSX2版MG2のエンディングのキャスト紹介と 同梱品のユーザーズマニュアルにおいては 彼女の名前のつづりが”Horry White”と表記されていたが、 復刻版ソフトでは”Holly White”と修正されている。 公式サイト(2019-06-16 現在)でも 修正されたつづりが確認できる。
ピューリッツア賞(Pulitzer Prize)は アメリカ合衆国における、雑誌、新聞、ネットニュースなどといった報道全般において 卓越した功績を生み出したコンテンツを讃え、個人もしくは組織に対して授与される賞。 米国のジャーナリズムにおいて最も権威のある賞とされている。 部門によってはアメリカ人であることが条件ではない場合もあり、 日本人の受賞者も存在する(2019年現在、3名)。 この賞は1917年に、かつてアメリカで活躍したジャーナリスト”ジョセフ・ピューリッツア(Joseph Pulitzer)”に ちなんで設立された。
エミー賞(Emmy Award)は アメリカ合衆国におけるテレビ番組に関する功績に対して授与される賞。 映画界で言うところの『アカデミー賞』に相当し、テレビ番組に関する最高峰の賞とされる。 2013年以降はネット配信されるWebテレビ番組も受賞の対象となっている。 1949年にATAS(米国テレビ芸術科学アカデミー)により設立された。
ちなみに、MG2のユーザーズマニュアル(MSX2版同梱品)や 公式サイト(2019-07-11 現在)においては ホーリー・ホワイトが受賞したのは『グラミー賞』と記載されているが、 後にPS3ソフト『メタルギアソリッド4 データベース』にて 『エミー賞』と訂正されている。 『グラミー賞』は音楽に関する賞である。
彼女が専属モデルを務めたファッション誌の名前『デイペッシュ・ヴォーグ』について、 ”ヴォーグ(vogue)”はフランス語で”流行”を意味する。 ”デイペッシュ(Dépêche)”は”派遣”や”電報”というように訳されるが、 フランスにはかつて『デイペッシュ・モード(Dépêche mode)』というファッション雑誌が存在し、 その名前の英語訳は”fast fashion”とされ、つまり『最先端のファッション』というような意味を持つ。 ”ファッション”は”流行”とも同義であるため、”mode”は”vogue”に近い意味を持ち、 『デイペッシュ・ヴォーグ』はこの雑誌を元にした可能性が高い。 ちなみに『デイペッシュ・モード』は1976年から2001年まで販売されていた。