遺伝子のしくみを知ろう、第3回です。 前回までは遺伝子がどういう形で僕達の体の中に存在しているのかっていうところを話しましたね。 今回は、そういう情報がどういうルールで親から受け継がれているのかについて書きたいと思います。 優性遺伝子、劣性遺伝子の意味についてもお話します。
いきなりですが人間のDNAにおける遺伝情報に関して、 ゲームをよくプレイする人にはこういう例えが分かりやすいと思うのですが、 キャラメイキングなんかの”パラメーター”みたいなのを想像してください。 実際のところは前回話した”塩基配列”という形で遺伝情報が羅列していますが、 その中でここからここまでは脚の長さ!ここからここまでは瞳の色!ここからここまでは血液中のとある成分の有無!という感じで 塩基配列の中に身体の各部位のパラメーターが存在しているんですね。 まぁ実際には今適当に例に挙げたようなパラメーターがあるのかは分かりませんが(例えば脚の長さなんて大雑把じゃなくてもっと細かい部位ごとに設定されてると思います)。 メタルギアソリッド2で、人には10万個の遺伝子があるが6万~7万個程度が愛国者達の手で情報統制されているなんていう話がありましたね。 ここで言う遺伝子の数っていうのはこのパラメーターの数のことなんですね。 塩基配列の桁数はおよそ30億桁と言われています。その中で○桁目から○桁目はこのパラメーターを表す部分という具合で、 その一つ一つの区切りを1種類の遺伝子と呼んでいるんです。
ちなみに実際の遺伝子数は2万~3万個程度と言われています。まぁ現実でも愛国者達みたいな存在が情報統制していたら分かりませんが笑。
ここまでを理解していただいた上でようやく本題に入ります。 親からどうやってこれらのパラメーターが受け継がれるのかという話ですが…、 実は子供は父親と母親のそれぞれから、各パラメーターに関する遺伝子を1つずつ受け継ぎます。 なので、誰でも身体の各部位を設計する遺伝子をそれぞれ2つずつ持っているということになりますね (男性の場合には父からのみ、母からのみ受け継ぐ遺伝子もあるのですが)。 この同じ部位の設計図の役割をする2つの遺伝子のことを”対立遺伝子”と言います。
同じパラメーターを設定する遺伝子が2つずつあったらどういう風にそれを使って身体を作るの?って話になりますね。 実はここで優性遺伝子、劣性遺伝子と呼ばれる関係が働きます。 人間の身体にある様々な遺伝子には強さっていうものがあり、2つのうち強い遺伝子のみが身体の設計に使われるんです。 この時に使われる強い遺伝子を優性遺伝子、使われない弱い遺伝子を劣性遺伝子と言います。 つまり2つ遺伝子を持っていてもその平均を取った形になることはないということです。どちらか1つです。
ここで勘違いしてはいけないのは、優性遺伝子と劣性遺伝子というのは地球が作った生命システムにおけるただのルールであり、 こっちが身体を作るのに使われたほうが嬉しいな~っていう人間の都合は全く関係がないってことです! (どういう基準でルールが作られてるのかは地球しか知りません笑) だから優性遺伝子が良い、劣性遺伝子が悪いとは言えないのです。 ちなみに、じゃあ劣性遺伝子は使われることはないの?と思うかもしれませんが、 そいつに対立した遺伝子が更に弱いものであればそんなことはないわけです。 だから優性と劣性っていうのは2つが対立したときの関係を言うのであって、「この遺伝子は常に優性or劣性」っていう絶対的なものじゃないんですね。
一つ例を挙げると、髪の毛の色に関しては黒に近い色ほど強い遺伝子みたいです。 だから真っ黒の髪の遺伝子を父親から、金色の髪の遺伝子を母親から受け継いだら子供の髪は真っ黒になります。 先に言ったように中間の色になったりはしません。 日本人同士の子供だったらそんなに色の違いはないですが、ビミョーにでも黒に近い方の遺伝子が使われるんですね笑。
片方は使われないなら2つ持ってても意味ないじゃん!って感じですが、確かにその人の人生においては使われない方は何の意味もありません。 自然の変化に適応するためなるべく多くの遺伝子の種類を後世に残すという、生物としての目的のためのシステムです。
それでここからも重要なお話なのですが、子供に遺伝子を引き継ぐ父親と母親にも当然各パラメーターごとに2つずつ遺伝子があるはずですよね。 じゃあ2つの内の1つがどうやって選ばれて子供に受け継がれるかというと、実はこの時は単純に2分の1の確立です。 優性遺伝子と劣性遺伝子っていうのはこの時には関係がないんですね。ここがミソです。 ”隔世遺伝”なんて言葉を聞いたことがないでしょうか。お父さんには似てないのに父方のおじいちゃんには似てる!なんていうケースですね。 これはここまでで話した、遺伝子の引き継ぎは2分の1でも身体の構築で使われるかは優劣で決まるというシステムのためなんです。 例えば、AさんのDNAでは鼻の高い遺伝子が対立したもうひとつより優性だったとします。そうするとAさんの鼻は高いですね。 それで、その遺伝子が2分の1の確立でAさんの子供Bさんに受け継がれた時、仮にBさんがもう一人の親から受け継いだ鼻の低い遺伝子の方が優性だったとすると、Bさんの鼻は低くなります。 でもBさん自身の鼻が低くても、Aさんから受け継いだ鼻の高い遺伝子はDNAの中に持っています。するとBさんがさらにその子供に引き継ぐときにはまた優劣に関わらず2分の1なので、 鼻の高いほうの遺伝子を引き継ぐ場合があるわけです。するとその子供は鼻が高くなる可能性がありますよね。これが隔世遺伝です。
メタルギアソリッド1でリキッドは「自分は親父(ビッグボス)の劣性遺伝子ばかりを受け継いだ」と話していますが、 これはなかなか解釈が難しいですね。劣性遺伝子の意味を勘違いしていたというのは公式サイトでも語られていてリキッドはオマヌケさんなわけですが笑。 彼はソリッド・スネークへ対する強い劣等感を持って生きていたため、先入観が誤解を招いたのかもしれませんね。 ここで言う優性遺伝子がビッグボスの身体において設計に使われていた方の遺伝子だと解釈すると、 実際にはリキッドがたくさん優性遺伝子を引き継いでいたわけですから彼のほうがビッグボスに近い身体だったということでしょうか。 遺伝子は顔とか目に見えるところの設計図だけではないので2人とも顔はそっくりですがこういうことも言えますよね。 しかしだからと言って、ソリッド・スネークの方が戦闘に不向きな身体になるかというとそうも言い切れません。 すべては可能性です。カンの良さや性格なんていう手で触れられないものっていうのは遺伝子とは間接的にしか関係なく 育った環境に依存する部分が多いと言われていますし。 そういう意味でも、スネークがリキッドに勝ったことは遺伝子が人生を支配することはないというメッセージに繋がるんですね。
あともう一つ、全然違う内容の2つの対立遺伝子の強さが同じっていう特別なケースがあります。 この場合も平均を取るわけではなく両方の性質が身体に現れます。 僕達の身近なところで言うと血液型が良い例だと思います。 このあたりの話は学校でも習ったかもしれません。 A型、B型、AB型、O型で表す”ABO式血液型”っていうのがありますが、 これは赤血球の表面にA抗原、B抗原っていう2種類の物質がついているかいないかだけの判断です(抗原が何なのかは話が逸れるので自分で調べてください笑)。 このパラメーターで設定される遺伝子は3種類『A抗原がある』『B抗原がある』『どっちもない』です。 実はO型っていうのはA抗原もB抗原もない、つまり0(ゼロ)っていう意味でアルファベットのO(オー)が使われています。 なので3種類の遺伝子を順番にA、B、Oと呼ぶとすると、AとBは強さが同じ、Oだけは他の2つより弱いという優劣の関係になっています。 この遺伝子の伝わり方も上で書いた他の遺伝子と全く同じで、誰もが『AO』『AB』『OO』などといったように2つずつ遺伝子を持っています。 それでこれまでの例と同じようにAAなら当然A型、BOならBが強いからB型、OOならO型という具合になるのですが、 ABとなった場合だけ強さが同じなので赤血球の表面にA抗原もB抗原も持っているAB型となるんですね。 ちなみにA型とB型は『AA、AO』『BB、BO』と遺伝子の持ち方が2通りずつあるわけですが、 どっちになろうと上で説明したルールの通り平均を取らないので身体の設計にはなんの違いもないです。 違いは、O型の子供を産む確立があるかないかだけです(Oは劣性なので片方の親がAA、BB、ABだったら絶対産まれません)。 ちなみにABO式で同じ血液型だからと言って血液の成分は同じじゃないです。血液中の成分を決定するパラメーターはABO以外にもたくさんあって、 例えばRh-とかRh+なんていうのはD抗原っていうものがあるかないかっていうABOとは別のパラメーターで決まります。 たくさんパラメーターがあるのになんでABOとかRh-/Rh+なんていうのだけ一般に知られてるかって言うと、輸血に関係してくるからです。 他の成分は普段そんなに気にする必要がないってことですね。輸血ができるかどうかのメカニズムも今回は割愛するので気になる方は調べてください笑。
さて、今回も結構長くなってしまいましたがこのへんで終わりたいと思います。 説明が下手くそで分かりづらかったかもしれませんが…。いざ説明するとなると難しいですね。 僕の浅知恵もそろそろ枯渇するので次回でラストになると思います笑。 次回は双子が産まれるしくみと、 ソリッド・スネークやリキッド・スネークのようなクローン人間がどうやって創造されるかを書きたいと思います。