メタルギア ゴーストバベル(METAL GEAR Ghost Babel)は、 2000年にコナミから発売されたゲームボーイカラー用のゲームソフトで、 シリーズ初の携帯機用ソフト。”野尻真太監督作品”。 2D(ドットグラフィック)による描写ながら8方向移動が可能であり、 また『メタルギアソリッド(1998年発売)』から導入されたゲーム性が多く盛り込まれている。 ストーリー的には正史シリーズとは世界観を分ける外伝作品だが、 メタルギアシリーズの第1作目である『メタルギア(1987年発売)』のストーリーを引き継ぎ、 また同じく野尻氏による監督作品『メタルギアアシッド(2004年発売)』へと続く独自のシリーズを形成している (MGGB・MGAシリーズ)。 正統派なハードボイルドと言えるようなシナリオになっており、 正史シリーズとは違った解釈の”ソリッド・スネーク”の物語がドラマティックに展開される。
タイトル | メタルギア ゴーストバベル(METAL GEAR Ghost Babel) |
開発元 | コナミコンピュータエンタテインメントジャパン |
発売元 | コナミ |
ゲームデザイン |
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脚本 |
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美術 |
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音楽[注] |
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ジャンル |
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発売日[注] |
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公式サイト | https://www.konami.com/mg/archive/ghostbabel/(2021年現在) |
前作 |
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次作 |
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2000年にゲームボーイカラー専用として発売されたゲームソフト。 かつてコナミ内で”小島秀夫”氏の開発チームに所属していた”野尻真太”氏が監督を務めた作品。 メタルギアシリーズで初めての携帯機向けソフトである。 ストーリーの脚本は”メタルギアソリッド”シリーズにも参加している”福島智和”氏が務める。
『メタルギア2 ソリッド・スネーク(1990年発売/以下、MG2)』以来となる 2D(ドットグラフィック)で描写されるゲームであるが、 本作のゲーム性の基本もMG2に近いものとなっている。 その上で、壁への張り付き/張り付き移動、敵兵を格闘攻撃した際の”気絶状態”、お互いの顔が描写される無線画面など、 『メタルギアソリッド(1998年発売/以下、MGS1)』から導入された要素が多く盛り込まれている。 さらに、2Dながら8方向移動が可能である。 各イベントシーンでも専用のドットグラフィックが用意されている。 ドットグラフィックはマップ画面や無線画面も含め、とても精細に描かれている。 また本作独自の仕様として、ゲームが”ステージ制”になっていることも特徴的である。 各ステージクリアごとにプレイ成績が表示され、何度でもプレイし直すことができる。 その他、ゲームクリア後に各ステージで別のミッションをプレイできる『SPECIALモード』や、 MGS1にもあった『VRトレーニング』モード、ゲーム機の特性を活かした『通信対戦』モードも収録されている。 マルチプレイヤーモードの収録は、本作がメタルギアシリーズで初となる。
ストーリー的には正史シリーズとは世界観を分ける外伝作品という位置づけだが、 初期のメタルギアの、いわば”風呂敷が広げられる前”の世界観をシンプルに再解釈したような 正統派ハードボイルドとも言えるシナリオになっている。 主人公の”ソリッド・スネーク”の他にも、MGS1から逆輸入されたキャラクターが2名登場する。 ヒロインの”クリス・ジェンナー”とのラブロマンスや、 MGS1におけるFOXHOUNDを彷彿とさせる個性的なボスキャラクター達との対立もドラマティックに描かれる。 また、本作に登場する新型の二足歩行戦車『メタルギア』は ”メタルギアソリッド”シリーズでキャラクター&メカニックデザインを務める”新川洋司”氏によりデザインされている。
ちなみに、本作の海外版は『METAL GEAR SOLID』のタイトルで発売されている。
21世紀初頭。 南米に向かって飛行していた米陸軍の輸送機が、突如として消息を絶った。 輸送機は、極秘演習を実施するために新型兵器を輸送している途上であった。 その兵器とは、7年前に陥落した武装要塞国家『アウターヘブン』が開発していたものと同じ、 核搭載二足歩行戦車『メタルギア』。 米政府はアウターヘブンからデータを回収し、独自に新型のメタルギアを開発していたのだった。 その新型メタルギアが、何者かによって強奪された。
やがて政府は、メタルギアがアフリカの中央に位置する”ジンドラ”という小国に運ばれていることを突き止める。 同国は現在、独立を訴える少数派民族の武装蜂起により内戦状態にあるが、 メタルギアを手にしたのは、 その蜂起を起こした武装集団『ジンドラ解放戦線(Gindra Liberation Front)』、通称”ジレフ”であった。 彼らは山岳部に『ガルエード』と呼ばれる武装要塞を築き、本拠地としていた。 さらに偶然か、その地はかつてアウターヘブンの要塞が築かれていたのと同じ場所であった。
この非常事態に際し米政府は、かつてたった一人でメタルギアを破壊しアウターヘブンを陥落させた 潜入任務のエキスパート”ソリッド・スネーク”を呼び戻す。 彼に与えられた任務は、武装要塞ガルエードへ単独潜入し、新型メタルギアを破壊すること。 やがて、スネークは再び因縁の戦場へと降り立つが、 そこでは『ブラック・チェンバー』と名乗る謎の傭兵集団が待ち受けていた。
本作はゲーム本編で一度クリアしたステージを『ステージセレクト』から再プレイできるが、 エンディングまでクリアすると、 同じゲームステージで異なるミッションを遂行する『SPECIAL(スペシャル)』が選択できるようになる。 内容は『常に危険モード』、『降り注ぐ砲撃を避け続ける』、『完全ステルス』などバラエティに富んでいる。 『No.4』という謎の人物から司令を受けながらミッションをこなすという簡単なシナリオも用意されており、 ステージをクリアするごとにゲーム本編では語られていない裏設定などを彼から聞くことができる。
仮想空間で潜入訓練を行う『VR TRAINING(VR訓練)』をプレイできるゲームモード。 潜入に特化した『SNEAKING MODE』、武器の習熟に特化した『WEAPON MODE』、 武器の使用と潜入を両立させた訓練を行う『ADVANCED MODE』が用意されている。 ステージのバリエーションが豊富で、単純な操作練習だけでなく 1つのゲームモードとしても充実している。
ちなみにこのVR訓練で流れるBGMとして、MSX2時代の作品である 『メタルギア(1987年発売)』、『メタルギア2 ソリッド・スネーク(1990年発売)』 の2作のBGMのアレンジバージョンが使用されている。
2台のゲームボーイカラーを通信ケーブルで接続して他のプレイヤーと通信対戦するゲームモード(『バーサスバトル』)。 ゲームステージ上に配置される3つの『データディスク』というアイテムを奪い合い、 3つとも持った状態でゴールに到達したほうが勝者になる。 いずれかのプレイヤーが3つのデータディスクを所持した時にゴールが出現するのだが、 本物のゴールが1つ、偽物のゴールが3つ出現するという、ユニークなルールになっている。 また、『敵を視界に捉えなければ姿を見ることができない』というメタルギアらしいゲーム性も盛り込まれている。 一部、ゲーム本編と操作方法が異なる。
本作では、1987年に発売されたメタルギアシリーズの第1作目『メタルギア(以下、MG1)』の内容を前日譚とし、 その『7年後』のストーリーが描かれている。 MG1は正史シリーズの1作目としても数えられる作品であるが、 本作ではMG1から別の世界線に分岐する形となっており、 いわゆる”外伝作品”の1つとして数えられる。
また、あくまで公式では明言されていないが、本作と同じく”野尻真太”氏が監督を務めた 『メタルギアアシッド2(2005年発売/以下、MGA2)』では 本作との繋がりを示唆する要素が登場している(詳しくは『シリーズの繋がり』のページを参照)。 そのため本Webサイトでも、MGA2の前作である『メタルギアアシッド(2004年発売)』も含め、 野尻氏の監督作品3作品をストーリー的な繋がりを持つ作品群として扱う(MGGB・MGAシリーズ)。
本作は2000年の発売以降、一度も再発売が行われていない(2021年現在)。 以下、日本国内版の情報を記す。