メタルギアソリッド インテグラル(METAL GEAR SOLID INTEGRAL)は、1999年にコナミから発売されたPlayStation用ゲームソフト。 前年に発売された『メタルギアソリッド(以下、MGS1)』に 様々な仕様変更、新規要素の追加を行った拡張版。 登場人物の音声が”英語音声のみ”となっている。 原作から大きく拡張した『VRトレーニング』モードをはじめ、 ゲームプレイ面において非常に豊富な新規コンテンツが盛り込まれている。 ゲーム本編のストーリーに変更はないため、 MGS1と同様に シリーズで第3作目の”小島秀夫監督作品”として数えられる。
タイトル | メタルギアソリッド インテグラル(METAL GEAR SOLID INTEGRAL) |
開発元 |
|
発売元 | コナミ |
原作 | メタルギアソリッド(PlayStation/1998年発売) |
ゲームデザイン | 小島秀夫(監督、プロデュース) |
脚本 |
|
美術 | 新川洋司(キャラクター&メカニックデザイン) |
音楽 |
|
ジャンル |
|
プレイ人数 | 1人 |
プラットフォーム |
|
発売日 |
PlayStation
Windows(Digital Dialect)[注]
ゲームアーカイブス[注]
Windows(GOG.com)[注]
Nintendo Switch、PlayStation 5|4、Xbox Series X/S、Steam(マスターコレクション)
|
対象年齢 | CERO:C(15才以上対象)[注] |
公式サイト | https://www.konami.com/mg/archive/integral/(2021年現在) |
前作 | メタルギアソリッド(1998年) |
次作 | メタルギア ゴーストバベル(2000年) |
1999年にPlayStation専用として発売されたゲームソフトで、 前年(1998年)に発売した『メタルギアソリッド(以下、MGS1)』に 様々な仕様変更、新規要素の追加を行った拡張版。 公式には”完全版”としてプロモーションされているが、 登場人物の音声が”英語音声のみ”となり、さらに一部のセリフ(日本語字幕)が 原作と異なっているため、純粋な上位互換にはなっていない。 しかし、ゲームプレイの面では非常に豊富な新規要素が盛り込まれているため、 MGS1をプレイ済みのユーザーにとってもかなりプレイ価値のある作品となっている。 特にMGS1から大きく拡張された『VRトレーニング』モードをメインとする 3枚目のゲームディスク”VRディスク”が追加されたことが大きな特徴である。
ゲーム本編(ストーリーモード)のシナリオには基本的に変更はないため、 実質的に原作(MGS1)と同様に シリーズで3作目の”小島秀夫監督作品(A HIDEO KOJIMA GAME)”としてカウントされる作品である。 公式のプロモーションにおいても2作がひとまとめに紹介されることが多い。
なお、ストーリーや登場人物については 『メタルギアソリッド』のページを参照。
ディスク1、ディスク2に、『メタルギアソリッド(1998年発売/以下、MGS1)』から 様々な変更が加えられたゲーム本編(ストーリーモード)が収録されている。
原作との違いは以下の通り。
MGS1から『ブリーフィング』、『プリビアス・オペレーションズ』、『アルバムモード』が引き継がれている。 なお、『VRトレーニング』も継承されているが、本作では内容が大きく拡張されているため、後項で解説。
ゲーム本編における全デモシーンを鑑賞できるモード(『DEMO THEATER』)。 ゲーム本編と同じディスク1、ディスク2に収録されている。 メモリーカードに本編のクリアデータがある場合のみ選択することが可能。
原作のMGS1にもあった、 仮想空間で操作訓練を行う『VR TRAINING(VR訓練)』が大きく拡張されたゲームモード。 3枚目のゲームディスク”VRディスク”におけるメインコンテンツ。 全300ステージで豊富なバリエーションのミッションが用意されており、 単純な操作練習だけではなく1つのゲームモードとして非常に充実している。
潜入に特化した『SNEAKING MODE』、武器の習熟に特化した『WEAPON MODE』、 武器の使用と潜入を両立させた訓練を行う『ADVANCED MODE』、 さらにバリエーション豊かなステージでコミカルな”ネタ要素”を楽しめる『SPECIAL MODE』を遊ぶことができる。 なお、『SPECIAL MODE』は最初は選択できず、他の3つのモードを進めると解放される。
ちなみにこのVRトレーニングで流れるBGMとして、MSX2時代の作品である 『メタルギア(1987年発売)』、『メタルギア2 ソリッド・スネーク(1990年発売)』 の2作のBGMのアレンジバージョンが使用されている。
ゲーム本編に登場する女性キャラクター”ナオミ・ハンター”と”メイ・リン”をカメラで撮影できるモード。 メニュー上の名前は『PHOTOGRAPHING』。 3枚目のゲームディスク”VRディスク”に収録されている。 PlayStation 2相当とは言えないが、初代PlayStationとしてはかなりハイクオリティなリアルタイムポリゴンで、 2人が様々なポーズを取ってくれる。
このモードはメモリーカードにゲーム本編のクリアデータがあると選択可能になる。 また、”メイ・リン”に関しては難易度『EXTREME』のクリアデータが必要。 さらに取得した称号に応じて2人に近づける”距離”が変わるため、 メイ・リンに最接近するためには『EXTREME』で最高の称号『BIGBOSS』を取得する必要がある。
ちなみに、ゲーム本編の序盤においてナオミ・ハンターが 『生きて帰れたら私を調べていいわ』と発言しており、公式で『ナオミとの約束が遂に実現』とプロモーションされている[注]。
本作におけるキャストを掲載している。 前項『本編における変更点』に記している通り、 本作は日本国内版ソフトにおいても”英語音声”となっており、 原作(MGS1)の英語版ソフトにおける音声が使用されている。
なお、表記と掲載順は 取扱説明書のクレジットに準拠している。 ただし、元は英語表記であるのに対して 本項では日本語表記とし、同一キャストの役は1行にまとめている。 また、本来の芸名と異なる”仮名”でクレジットされている声優については、 カッコ内に実際のクレジット名を記載している[注]。
役名 | 声優 |
ソリッド・スネーク | デイヴィッド・ヘイター |
リキッド・スネーク | カム・クラーク(ジェームズ・フリンダース)[注] |
メリル・シルバーバーグ | デビ・メイ・ウェスト(メイ・ザドラー)[注] |
ナオミ・ハンター | ジェニファー・ヘイル(カレン・ラーニング)[注] |
ハル・エメリッヒ | クリストファー・ランドルフ(クリストファー・フリッツ)[注] |
ロイ・キャンベル | ポール・エイディング(ポール・オーティス)[注] |
メイ・リン | キム・マイ・ゲスト(キム・グエン)[注] |
|
|
ナスターシャ・ロマネンコ | レニー・ラウドマン(レニー・コレット)[注] |
リボルバー・オセロット | パトリック・ジマーマン(パトリック・ライネ)[注] |
|
|
|
|
スナイパー・ウルフ | タシア・ヴァレンザ[注](ジュリー・モンロー)[注] |
ケネス・ベイカー | アラン・ルーリー(バート・スチュアート)[注] |
ジム・ハウスマン | ウィリアム・バセット(フレデリック・ブログス)[注] |
|
|
敵兵士[注] | スコット・ドルフ |
基本的に本作のストーリーモードは 原作である『メタルギアソリッド(1998年発売/以下、MGS1)』をベースとしたものであるため、 他作品とのストーリー的な繋がりもMGS1と同様の扱い(いわゆる”正史シリーズ”)となる。 公式においても、ストーリーの繋がりを意識したプロモーションにおいては 2作がひとまとめに紹介されることが多い。 ただし、前項『本編における変更点』に記している通り、 登場人物の音声が”英語音声”であり、 さらに一部のセリフ(日本語字幕)がMGS1と異なっているため、 MGS1を未プレイの人がその代わりとして本作をプレイする場合には注意が必要。
海外では本作の純粋なローカライズ版は発売されておらず、”VRディスク”だけを単独化したソフトのみが発売されている。 北米版は『METAL GEAR SOLID VR MISSIONS(メタルギア ソリッド VRミッションズ)』、 欧州版は『METAL GEAR SOLID SPECIAL MISSIONS(メタルギア ソリッド スペシャル・ミッションズ)』というタイトルになっている。 後項で紹介している海外向けのWindows版(Digital Dialect版、GOG.com版)の商品名で 『INTEGRAL』のタイトルが使われていないのもこれが理由だと思われる。
インテグラルの原作である『メタルギアソリッド(1998年発売/以下、MGS1)』の時点で 海外版(英語版)では日本版と違い、後のインテグラルの本編部分における新規要素の一部がすでに実装されていた (詳しくはMGS1のページを参照)。 これが海外では”VRディスク”だけを単独化したものが発売されることになった理由だと思われる。 ゲーム本編とのセーブデータの連動を無効化する都合により、VRディスクの一部コンテンツの解放条件が簡略化されている。
北米版(VR MISSIONS)は完全に単独で動作するのに対して、 欧州版(SPECIAL MISSIONS)はプレイするために、画面の指示に従いながら 一時的にMGS1のゲームディスクもPlayStationにセットする必要がある。 欧州では複数の言語圏向けにMGS1のローカライズ版が発売している都合から、 各言語用のデータをロードするためにこの仕様が設けられている[注]。 また、この仕様によって欧州版ではPlayStation 2の『SCPH-70000』以降の型番(ディスクトレイ開閉が手動のバージョン)を除き、 後方互換が非対応となっている。
本項では基本的に日本国内版のゲームソフトを扱うが、 海外でしか発売されていないバージョンについても合わせて紹介する。
実質的なインテグラルの海外版。 海外では単純なローカライズ版は発売されておらず、”VRディスク”のみを単独化した商品が発売されている。 北米版は『VR MISSIONS』、欧州版は『SPECIAL MISSIONS』のタイトルになっている。 詳しくは前項『海外版における仕様変更』を参照。
プラットフォーム |
|
メディア |
|
発売日 | 北米1999年9月25日[注] |
なお詳細は省略するが、後項で紹介している『ゲームアーカイブス版』が 日本で発売した際、海外でも本バージョンの『PS one Classic(海外版のゲームアーカイブス)』版が発売されている。
廉価版という形でパッケージデザインを変えながら本作が再発売されている。 以下、『オリジナル版』とゲーム本編のディスクの内容は同じため、 プラットフォームとメディアは省略する。
2000年に海外向けにのみ、本作のPC(Windows)への移植版が発売された。 開発元は『Digital Dialect(デジタル・ダイアレクト)』。 海外ではインテグラルというタイトルのソフトが発売されていない関係から (詳細は前項『海外版における仕様変更』を参照)、 タイトルは単に『METAL GEAR SOLID』となっており、パッケージに『VR MISSION GAME INCLUDED』の文字が書かれている。
プラットフォーム | Windows 95/ME/98 |
メディア |
|
発売日[注] |
|
ゲーム本編も含め、インテグラルを元にした移植・ローカライズ版となっているが、 セーブ方式の変更、コンテンツの解除条件の変更、一部要素の削除など、 オリジナルとの違いが多く含まれている[注]。 本編ディスクの1枚目とVRディスクが統合され、合計2枚組となっている。
2013年、ソニーの旧作ゲーム配信サービス『ゲームアーカイブス』にて本作の移植版が発売された。
プラットフォーム |
|
メディア | ダウンロード |
発売日 | 2013年7月11日[注] |
価格 | 600円/税込:660円(税率10%) |
ゲーム内容は変わらないが、 『METAL GEAR SOLID』ではもともと、2枚組ディスク交換の際の演出や パッケージ版ならではの攻略ギミックが用意されており、 このバージョンでは特殊な形で対応が行われているためプレイ時の注意が必要。
また、2013年に発売されたセット商品『メタルギアソリッド レガシーコレクション』に このゲームアーカイブス版がダウンロードできる”プロダクトコード”が同梱されている。 そもそも本作のゲームアーカイブス版自体がこのセット商品の発売に合わせて配信されたものであり、同時発売となっている。 なお、コードは1度しか使用できないため中古品を購入する際は注意が必要。
備考 | 『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット(2008年発売)』が収録された 『DISC 2』のパッケージに”プロダクトコード”が封入されている。 |
2020年に海外のゲームダウンロード販売サービス『GOG.com』においてPC(Windows)向け移植版が発売された。 対応言語は英語のみで、日本国内からは購入が不可能となっている。 Digital Dialect版と同じくタイトルは単に『METAL GEAR SOLID』となっているが、 公式サイトを見ると内容はインテグラルがベースであることが分かる[注]。 その他、詳細な内容については未調査。
2023年に複数の現行プラットフォーム向けに発売された メタルギアシリーズの移植版コレクション『メタルギアソリッド マスターコレクションVol.1』に 本作『インテグラル』も収録された。
プラットフォーム |
|
基本的にゲーム内容に変更はないが、ストーリーや ゲームの攻略情報が記載された様々なデジタルコンテンツもあわせて収録されている。
VR MISSIONS(北米版)は、ゲーム情報サイト『IGN』の作品紹介ページより(2021-01-11現在)。 SPECIAL MISSIONS(欧州版)は目安として、ショッピングサイト『Amazon』のイギリス(UK)向けサイトの 商品ページを参照(2021-01-11現在)。
北米版は、情報サイト『Metacritic』の作品紹介ページより(2021-01-11現在)。 欧州版は目安として、ショッピングサイト『Amazon』のイギリス(UK)向けサイトの 商品ページを参照(2021-01-11現在)。
日本版は、ソニーの商品紹介ページより(2021-01-18現在)。 北米版は、『PlayStation Store』北米向けサイトの 作品紹介ページより(2021-01-11現在)。 欧州版は公式情報ではないが、辞書サイト『Wikipedia(英語版)』の PS one Classics対応ソフト一覧(PAL地域)ページより(2021-01-11現在)。
なお、海外向けの同配信サービスは『PS one Classics』という名称になっている。
当時MGS1で翻訳作業を担当した ”ジェレミー・ブロイスタイン(Jeremy Blaustein)”氏のインタビュー記事(Gigazine)より(2021-01-14現在)。
PocketStation(ポケットステーション)は、 初代PlayStationのメモリーカード機能を持つ小型ゲーム端末。1999年に日本国内でのみ発売された。 ゲームソフトのセーブデータと連動させながら様々なミニゲームを遊ぶことができる。 2021年現在は生産終了している。
PlayStation Vita上でPocketStationのゲームを動作させるためのアプリケーション。 2013年に無料配信が開始された。 これによってPocketStationとの連動機能に重きを置いていた初代PlayStationのゲームソフトが ゲームアーカイブスで配信されるようになった。 詳しくは公式サイトを参照。
本作『インテグラル』、および原作(MGS1)の英語版ソフトにおいては、 ボイスキャスト(声優)が一部を除き、本来の芸名ではない仮名でクレジットされている。 これについて公式情報ではないが、 英語圏の辞書サイト『Metal Gear Wiki』によると、 当時アメリカ合衆国の映画・テレビ俳優が加盟していた労働組合『映画俳優組合』が MGS1をサポート対象としているのかが不明瞭であったことが その背景にあるとされている。
本作の劇中で登場する敵兵士(モブキャラクター)のうち、 一人だけ個性的なシーンが多く用意されている兵士に ”ジョニー佐々木”の名前が与えられており、後のシリーズにも登場している。 なお、原作(MGS1)時点では彼の名前は明示されておらず、 本作『インテグラル』のスタッフロールにおいて 初めてそのキャラクター名がクレジットされている。
原作(MGS1)の日本語版ソフトにおいては 敵兵士(モブキャラクター)としては”ゲノム兵”のみがクレジットされていたが、 英語版ソフト、および本作『インテグラル』においては それとは別枠で”敵兵士(Enemy soldier)”という役名がクレジットされている。
発売日はソニーの商品紹介ページより(2021-01-13現在)。 価格は、ショッピング情報サイト『価格.com』の商品紹介ページより(2021-01-13現在)。
公式サイトの商品ページ(WaybackMachine)より(2021-01-13現在)。 なお、Webアーカイブではない元のページは日本国内からはアクセス不可となっている。