メタルギアアシッド2(METAL GEAR AC!D2)は、 2005年にコナミから発売されたPlayStation Portable用のゲームソフト。”野尻真太監督作品”。 『カードゲーム』という新しいスタイルで登場した 前作『メタルギアアシッド(2004年発売)』の続編。 基本的なゲーム性は前作を踏襲しつつ、より直感的な操作性によって遊びやすさが向上している。 歴代のメタルギアキャラクターと対戦する『アリーナモード』や 付属スコープ『SOLID EYE とびだシッド』による”立体視”など、 本編以外のコンテンツも充実している。アメコミ調のグラフィックも特徴。 ストーリー的には正史シリーズとは世界観を分ける外伝作品だが、 野尻氏が監督を務めた3作品で独自のシリーズを形成している(MGGB・MGAシリーズ)。
タイトル | メタルギアアシッド2(METAL GEAR AC!D2) |
開発元[注] |
|
発売元[注] | コナミ |
ゲームデザイン |
|
脚本 |
|
美術 |
|
音楽 |
|
ジャンル |
|
プレイ人数 |
|
プラットフォーム | PlayStation Portable |
発売日[注] |
|
対象年齢 | CERO:15才以上対象[注] |
公式サイト | https://www.konami.com/games/jp/ja/products/mga2/(2021年現在) |
前作 | メタルギアアシッド(2004年/MGGB・MGAシリーズ) |
次作 | メタルギアソリッド3 サブシスタンス(2005年) |
2005年にPlayStation Portable専用として発売されたゲームソフト。 かつてコナミ内『小島プロダクション』に所属していた”野尻真太”氏が監督を務めた作品。 『カードゲーム』という新しいスタイルのメタルギア作品として登場した 『メタルギアアシッド(2004年発売/以下、MGA1)』の続編である。 『ACID』の『I』の字がメタルギアを象徴する『!』マークで、 またナンバリングの『2』が『2乗』の表記という特徴的なロゴデザインになっている。 開発時期は同年の『メタルギアソリッド3 サブシスタンス』と重なっているが、 発売順では本作が小島プロダクション名義での最初の作品となっている。
基本的なゲーム性は前作のものが踏襲されつつ(MGA1のページを参照)、 『移動』、『張り付き』、『はしごの上り下り』、『姿勢変更』、『ドアの開閉』といった行動が 通常のアクションゲームのような直感的な操作に変更され、全体的にテンポよく軽快に遊べるよう改善されている。 その他、各ミッションのボリューム、カード能力のバランスなども調整されている。 カードの種類も前作の倍以上に増加している。 また、ゲームステージ、キャラクター、UI(ユーザーインターフェース)が 全体的にアメリカンコミック調のカラフルなグラフィックになっていることも特徴である。 通信対戦モード『LINK BATTLE』や、歴代のメタルギアキャラクターと対戦する『アリーナモード』など、 本編(ミッション)以外のゲームコンテンツも多く盛り込まれている。 さらに、『SOLID EYE とびだシッド(後項参照)』という特殊なペーパー製スコープが同梱され、 PSPで”立体視”を行うという斬新なシステムにも挑戦している。
本作で登場するカードのモチーフとなっているのは以下の11作品(コラボレーションを除く)。
また、当時開発中だった『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット(2008年発売)』の カードも1種類のみだが登場している。
本作は、ストーリー的に正史シリーズとは世界観を分ける 外伝作品という位置づけになっているが、 個性的なキャラクターが多く登場し、二転三転する展開によって非常に引き込まれる物語となっている。 敵との対立構造が三つ巴であり、なおかつスネークを無線でサポートする協力者たちも ”ダルトン”、”ワイズマン”、”B.B.”という3つの勢力に分かれており、 それぞれの人物の思惑が複雑に絡み合いながら物語が進行していく。 主人公の”スネーク”が記憶喪失者であるという設定も特徴的であり、 自分の過去を追い求めるという動機のもとにミッションに身を投じる展開になっている。 スネークの容姿も、バンダナやスニーキングスーツがブルーを基調とした オリジナリティの強いデザインになっている。これはゲーム中の3DCGモデルでも同様である。 また、エロティックを意識した台詞回しやカメラワークが多用されているのも特徴である。
本作にはゲームソフトとともに『SOLID EYE とびだシッド(TOBIDAC!D)』という ペーパー製・組み立て式の特殊なスコープが付属している(ディスクケースとは別梱包)。 これはPlayStation Portable本体(旧型)に取り付けられるようになっており、 MGA2におけるとびだシッド対応モードをプレイ中、 スコープ越しにゲーム画面を”立体映像”として観ることができる。
対応しているモードは以下の3つ。
なお、立体視モード起動中は画面が左右に分割され、 左目用、右目用の映像が同時に映し出されるため、実質的な画面の解像度・情報量は半分になる。 一応、”平行法”を使えばとびだシッド無しでも自力で立体視は可能である。
北米大陸に向けて飛行を続ける一機の小型飛行機。 そこには、南米のセレナ共和国で活動していた4人のレジスタンスたちが搭乗していた。 3年前に同国で”デルガド”将軍率いる独裁軍事政権の打倒に貢献した彼らは今、 麻薬王”エスコバル”から1500万ドルもの金を奪い取り、自由の国アメリカに向けて逃亡中であった。 その中には、仲間から”スネーク”と呼ばれる屈強な戦士の姿があった。 彼は3年前の戦い以前の記憶を完全に失っており、 この逃亡劇が成功した暁には、自らの過去を確かめるべく行動を起こそうと心に決めていた。
だがやがて機が米国へと降り立つと、 FBI捜査官”ダルトン”の手によって彼らの身柄は拘束されてしまう。 だがダルトンにとって逮捕の容疑はどうでも良かった。 彼は、エスコバルの息のかかったセレナ政府から米国に対して発出されている レジスタンスの”身柄引き渡し要求”を盾に、 凄腕の兵士であるスネークに対し、とある違法な極秘捜査への協力を要求することが目的だった。 3人の大切な仲間を人質に取られる形になったスネークに選択の余地はなかった。 ダルトンが捜査を行っていたのは、米国の巨大軍事企業『ストラテロジック(SL)』社。 やがてスネークは、同社が占有する孤島の研究施設に足を踏み入れる。 民間企業であるはずの同社の施設は、軍事要塞並みの警備体制を整えていた。
スネークに与えられた潜入任務は容易に達成されるかに見えた。 しかし任務の完了直前、施設全体に原因不明の警報が鳴り響く。 さらに程なくして、ダルトンの指揮系統が ”ワイズマン”という米国防総省の男に乗っ取られてしまう。 ワイズマンによれば、SL社の副社長にして主幹研究員を務める ”トマス・コペルソーン”という人物が施設を武装占拠し、軍と政府、大企業の要人の身柄引き渡しを要求、 応じなければ核を発射すると通告してきたのだという。 同社が保有する核兵器は、新型の核搭載二足歩行戦車『メタルギア』。 スネークは予想もしない形で展開する複雑な事件へと巻き込まれていく。 しかし図らずも、彼はこの任務の先で渇望していた自身の過去と対峙していくことになるのだった。
ストーリーモードで1度クリアしたマップで異なるミッションをプレイできるゲームモード(『EXTRA MISSION』)。 各マップごとに複数のミッションが用意されており、選択してプレイすることができる。 ストーリーには影響しないが、 所持カード・デッキはストーリーモードと共通となる。
ミッションの区分は以下の通り。
メタルギアシリーズのキャラクター達と対戦するゲームモード(『ARENA』)。 ストーリーモードのセーブデータを読み込んで自身の編成したデッキを使用する。 本編と同じくプレイヤーが”スネーク”と”ヴィナス”を操作するのに対し、 敵も2名ずつ登場して2対2での対戦となる。 難易度は『EASY』、『NORMAL』、『HARD』、『EXTREME』の4段階。
登場する対戦キャラクターは以下の8人。
”メタルギアソリッド(MGS)”シリーズ3作品のキャラクター達は 他作品のキャラクターとのペアでも登場するが、 ”テリコ・フリードマン”と”ヴィナス”は固定ペアになっている。 また対戦ステージは全3ステージで、 それぞれ上記MGSシリーズ3作品の世界観をモチーフとしたステージとなっている。
PlayStation Portableの”アドホックモード”を使用した通信により プレイヤー2人で通信対戦を行えるゲームモード。 プレイヤーキャラクターは本編と同じく”スネーク”、”ヴィナス”の2人。 ゲームステージ上には各プレイヤーが守備すべき”ターゲット”が配置され、 敵のプレイヤーキャラクターを戦闘不能にするか、敵のターゲットをすべて破壊すれば勝利となる。 ゲームには”制限コスト”が設けられており、 それが終了した時点でいずれの勝利条件も達成されていない場合には プレイヤーキャタクターとターゲットのLIFEの合計値が多く残っている方が勝利となる。 なお、最初のターンでは敵プレイヤーに攻撃することができなくなっている。
『SOLID EYE とびだシッド』に対応した立体映像を鑑賞するモード。 映像は規定のカードを入手することで追加されていく。 映像は全50種類。
本作には『メタルギアソリッド3 サブシスタンス(2005年発売/以下、サブシスタンス)』との連動機能 『MGS3サブシスタンス リンク』が搭載されている。 サブシスタンスのゲーム本編中にアイテム『カメラ』を使用して撮影した写真を MGA2側に転送し、『SOLID EYE とびだシッド』を使って『立体写真』として鑑賞することができる。 写真を送るためには、本作をプレイ中のPlayStation Portable本体と サブシスタンスをプレイ中のPlayStation 2本体をUSBケーブルで接続し、 双方から専用のメニューを選択する。
本作の日本国内版ソフトにおけるキャストを掲載している。 前作『メタルギアアシッド』と同じく ストーリーパートにおけるセリフはテキストのみとなっているが、 本作MGA2ではゲームプレイパートに登場するキャラクターに限り、 攻撃アクション等に対応した音声が収録されている。
なお、表記と掲載順は ゲーム中のクレジットに準拠している。
役名 | 声優 |
スネーク | 大塚明夫 |
ヴィナス | 小松里歌[注] |
ハラブセラップ | 田中一成 |
ゴラブ | 今村直樹 |
カイギディエル | 龍田直樹 |
ビンス | 大場真人 |
また、前項で紹介している『アリーナモード』において登場している 過去の”メタルギアソリッド”シリーズ3作品のキャラクターについて、 それぞれ原作から流用された音声が収録されている。以下、原作のクレジットに準拠した情報を掲載する。
役名 | 声優 |
リキッド・スネーク | 銀河万丈 |
リボルバー・オセロット | 戸谷公次 |
フォーチュン | 冬馬由美 |
ヴァンプ | 置鮎龍太郎 |
ザ・ボス | 井上喜久子 |
ジ・エンド | 阪脩 |
本作は前年(2004年)に発売した『メタルギアアシッド』の正当な続編である。 また、アシッドシリーズと同じく”野尻真太”氏が監督を務めた『メタルギア ゴーストバベル(2000年発売/以下、MGGB)』と 本作MGA2の2作には世界観の繋がりを示唆する要素が登場している (詳しくは『シリーズの繋がり』のページを参照)。 そのため本Webサイトでは、野尻氏の監督作品3作品をストーリー的な繋がりを持つ作品群として扱う(MGGB・MGAシリーズ)。
なお、上記の作品群は メタルギアの”正史シリーズ”とは世界観を分けた いわゆる”外伝作品”として数えられる。 ちなみに、先述のMGGBは 正史シリーズの第1作目でもある 『メタルギア(1987年発売)』のストーリーを前日譚としており、 そこから別の世界線に分岐する形となっている。
本作は2005年にオリジナル版が発売し、翌年(2006年)に廉価版が再発売している。 2021年現在、他プラットフォームへの移植等は行われていない。
以下、日本国内版の情報を記す。
以下、プラットフォームとメディアは同じため省略。
本作の開発元である『小島プロダクション』について、 2005年5月の発足から2006年3月の『コナミデジタルエンタテインメント』設立までの期間のみ 『コナミ(後の純粋持株会社)』の傘下に置かれていた。 メタルギアシリーズでは本作と『メタルギアソリッド3 サブシスタンス(2005年発売)』の2作品が その時期に発売され、『発売元:コナミ』かつ『小島プロダクション名義』の作品となっている。
ヴィナス役を務める声優”小松里歌”氏について、 本作のゲーム中クレジットにおいては”小松聖歌”と表記されている。 特にこれが同氏の使用する別名義であるなどの情報も見当たらないため、恐らく誤記であると思われる。
日本版は、本作の公式サイトより(2021-03-02現在)。 北米版は、ゲーム情報サイト『IGN』の作品紹介ページより(2021-03-02現在)。 欧州版は目安として、ショッピングサイト『Amazon』のドイツ(DE)向けサイトの 商品ページを参照(2021-03-02現在)。
本作の旧公式サイトより。 サイトはWebアーカイブ(WaybackMachine)で閲覧できるが(2021-03-02現在)、 Flash Playerが動作する環境が必要。