メタルギア(METAL GEAR)は、1987年にコナミから発売された ファミリーコンピュータ(略称:ファミコン)用ゲームソフト。 本作より先に発売されたMSX2用の同名ゲームソフト『メタルギア』を原作としており、 当時は人気ハードへの”移植版”という形で開発されたが、 MSX2版のスタッフは開発に関わっておらず、内容に多くの変更が加えられているため、 実質的に『同名の別作品』のような作品となっている。
原作(MSX2版)は正史シリーズの第1作目として数えられる作品であるが、 本作(ファミコン版)にはゲームのシナリオや演出に多くの違いが見られるため、 世界観を分けた外伝作品として扱われる場合が多い。
タイトル | メタルギア(METAL GEAR) |
開発元 | コナミ[注] |
発売元 |
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原作 | メタルギア(MSX2/1987年発売) |
プログラム[注] |
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美術[注] | Compagno Ogikubo |
音楽[注] | 村岡一樹 |
ジャンル |
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プレイ人数 | 1人 |
プラットフォーム |
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発売日 |
ファミリーコンピュータ
Nintendo Entertainment System[注]
MS-DOS、コモドール64
ニンテンドーゲームキューブ
Nintendo Switch、PlayStation 5|4、Xbox Series X/S、Steam(マスターコレクション)
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対象年齢 | CERO:A(全年齢対象)[注] |
前作 | メタルギア(1987年) |
次作 | スネークズリベンジ(1990年) |
1987年に発売されたファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)用のゲームソフト。 本作の半年ほど前にメタルギアシリーズの第1作目であるMSX2用ゲームソフト『メタルギア』が発売されているが、 本作はそれを原作として、人気ハードへの移植という形で開発が行われた。 当時、コナミ内でMSX2、ファミコンでは開発チームが分かれており、 原作のゲームデザインを手掛けた”小島秀夫”氏をはじめとするMSX2スタッフは開発に一切関わっていない。 また、本作は基本的にはMSX2版の内容を踏襲しているものの多くの変更が加えられており、 さらにゲーム性にもいくつかの問題点を孕んでいる(後項で解説)。 そのため、後にメタルギアシリーズが数多く発売されていく中で 移植版というよりも同名の別作品として扱われることが多くなった。 開発は同時期だが、ある意味リメイク作品にも近い。
大枠のストーリーや登場人物はMSX2版を踏襲しているため、本ページでは割愛する。 詳しくは『メタルギア』のページを参照。
解説の都合上、MSX2版およびファミコン版における軽微なネタバレを含むため注意。
ゲームシステムにおける主な変更点は以下の通り。
ゲームのシナリオや演出における主な変更点は以下の通り。
また、ゲーム性において以下のような問題点がある。
ファミコン版の翌年、いわゆる”海外版のファミコン”として知られる ”Nintendo Entertainment System(略称:NES)[注]”向けに本作のローカライズ版が発売された。 当時、特に北米ではNESがゲーム市場を席巻しており、それに乗じる形で本作のNES版も現地で大ヒットを遂げた。 北米ではMSX2版が発売されていなかったため、当時の北米ユーザーにとっては本作が実質的なメタルギアの第1作目であった。 さらにそのヒットを受け、NES専用として海外向けにのみ続編である『スネークズリベンジ』が発売している。
実はその海外向け続編の発売が小島秀夫氏自らによる続編『メタルギア2 ソリッド・スネーク』の開発に繋がったという エピソードがある(詳しくは『スネークズリベンジ』のページを参照)。 そもそも小島氏はコナミ入社時にファミコン部署への配属を望んでいたものの叶わなかったという経緯があるため とても皮肉な形ではあるのだが、このファミコン版の海外でのヒットが後にメタルギアシリーズが続いていく遠因になっている。
本作の正当な続編として1990年に『スネークズリベンジ』が発売している。 同作は海外向けのみの発売であり、日本語版は存在しない。この世界線は2作で完結している。
なお、本作の原作であるMSX2版『メタルギア』は ”正史シリーズ”の第1作目として数えられ、 また”MGGB・MGAシリーズ”とも繋がりを持つ作品である。 ファミコン版のストーリーの大枠はMSX2版を踏襲しているため、その代わりとしてプレイしても大きな違和感はなく、 それらのシリーズの一部と見なすかどうかについては扱いが難しいのだが、 前項『MSX2版との違い』に記載したように ゲームのシナリオや演出にも大きな違いが見られるため、世界観を分けた”外伝作品”として扱われることが多い。 本Webサイトにおいてもそのように扱う。
本作の原作となった同名の作品については『メタルギア』のページを参照。
ファミコン版の翌年に、 いわゆる”海外版のファミコン”である”Nintendo Entertainment System(略称:NES)[注]”向けに発売されたローカライズ版。
プラットフォーム |
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メディア | 専用カートリッジ |
発売日 |
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1990年に、Microsoft社のPC用OS『MS-DOS』、コモドール社のホビーPC『コモドール64』向けに それぞれファミコン版の移植版が発売された。 だがこの2タイプは実質的に『NES版の移植版』として 海外向けにのみ発売されたものであり、日本語版は存在しない。 メディアはいずれも『フロッピーディスク』。 基本的なゲーム性やシナリオはファミコン版を踏襲しているが、 それぞれのプラットフォームの性能に合わせてグラフィックやサウンドの演出が変更されている。
ちなみに、ファミコン版ではオープニングでソリッド・スネーク(プレイヤーキャラクター)の他にも 3人の人間がパラシュート降下している演出があったが(前項『MSX2版との違い』を参照)、 この2つのバージョンではスネーク1人に変更されている。
2004年に発売された『メタルギアソリッド ザ・ツインスネークス』の 限定版『プレミアムパッケージ』に特典として付属した 『メタルギア スペシャルディスク』に ファミコン版の移植版が収録されている。 通常のニンテンドーゲームキューブ用ソフトと同じ包装で専用のパッケージになっているためコレクション性が高く、 単体でも中古ショップ等に流通している。
プラットフォーム |
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メディア | 専用8cm光ディスク(1枚)[注] |
備考 | ゲームに加え、特典映像(メタルギアソリッド ザ・ツインスネークスのトレイラー)も合わせて収録されている。 |
2023年に複数の現行プラットフォーム向けに発売された メタルギアシリーズの移植版コレクション『メタルギアソリッド マスターコレクションVol.1』に 本作『ファミコン版メタルギア』も収録された。コレクションの中核となる作品群とは異なり単体での販売はなく、 セット購入の際の”ボーナスコンテンツ”という扱いになっている。
プラットフォーム |
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『メタルギアソリッド ザ・ツインスネークス』の公式サイトの 『LIMITED』ページ(2020-12-23現在)に掲載されている 小島秀夫氏のコメントを見ると、当時の『開発2課(小島氏の所属は3課)』に原作のデータを渡した後、 『東京の開発チーム』で開発がスタートした旨が記載されているが、詳細は不明。
スタッフの名前について、本編のエンドクレジットではアルファベット表記になっている。 『Compagno Ogikubo(コンパーニョ・オギクボ)』について、 コナミの他作品にも様々な名前でクレジットされている美術スタッフ”荻窪一仁”氏であると思われるが、 確定情報がないためそのまま記載。
スタッフの名前について、本編のエンドクレジットではアルファベット表記になっている。 漢字表記について、公式資料ではないが、 ユーザー編集系辞書サイト『Wikipedia』の『コナミ矩形波倶楽部』のページを参照 (2020-12-31現在)。
ちなみに”村岡一樹”氏は後に、1998年に発売した『メタルギアソリッド』以降、 メタルギアシリーズの多くの作品においてサウンドディレクターなどの主要スタッフとして参加している。
Nintendo Entertainment System(ニンテンドーエンターテインメントシステム)は、 日本で1983年に発売されたゲーム機『ファミリーコンピュータ』をベースに 筐体の変更が施されて数年後に海外で発売されたゲーム機。通称『NES(ネス)』と呼ばれる。 ソフト(カセット)に互換性はなく、いずれかでしか発売されていないソフトもあるため実質的には別のゲーム機であるが、 日本のファミコンでヒットした有名タイトルがNESでも多くリリースされており、 日本においては『海外版のファミコン』と認知されることが多い。 日本のファミコンと同様に大ヒットし、当時の北米におけるテレビゲーム市場を活性化させた。
ニンテンドーゲームキューブ版の発売日は、厳密には本作の移植版ソフトが特典として付属された 『メタルギアソリッド ザ・ツインスネークス』の限定版『プレミアムパッケージ』の発売日となる(通常版と同日)。
発売日は同作の公式サイト(2020-12-23現在)に記載。 なお、プレミアムパッケージは日本国内でしか発売されていない。