メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ(METAL GEAR SOLID V GROUND ZEROES)は、2014年にコナミから発売されたマルチプラットフォーム用ゲームソフト。 略称”MGSV:GZ”。 シリーズで8作目の”小島秀夫監督作品”で、 ストーリー的に正史シリーズの中核を構成する作品の一つ。 本作は『METAL GEAR SOLID V(=5)』というナンバリングタイトルの”序章”にあたる部分が 先行して発売された作品となっており、翌年(2015年)に本篇『メタルギアソリッドV ファントムペイン』が発売している。 ”フォトリアル”を意識した映像と、 決められた攻略ルートが存在しない”リアルな潜入シミュレータ”というコンセプトのもとで開発された。 その他、操作性にも多くの変更点が加わり、これまでにない軽快なアクションが可能となっている。
タイトル | メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ(METAL GEAR SOLID V GROUND ZEROES) |
開発元 |
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発売元 | コナミデジタルエンタテインメント |
ゲームデザイン | 小島秀夫(監督、プロデュース) |
脚本 |
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美術 | 新川洋司(キャラクター&メカニックデザイン) |
音楽 |
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ゲームエンジン | Fox Engine |
ジャンル |
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プレイ人数 | 1人 |
プラットフォーム |
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発売日 |
PlayStation 4、PlayStation 3、Xbox 360[注]
Xbox One[注]
Steam[注]
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対象年齢 | CERO:D(17才以上対象) |
公式サイト | https://www.konami.com/mg/mgs5/(2021年現在) |
前作 | メタルギア ライジング リベンジェンス(2013年/正史シリーズ) |
次作 | メタルギアソリッドV ファントムペイン(2015年/正史シリーズ) |
2014年にマルチプラットフォーム用として発売されたゲームソフトで、 メタルギアシリーズにおける8作目の”小島秀夫監督作品(A HIDEO KOJIMA GAME)”で、 『METAL GEAR SOLID V(=5/MGSV)』というナンバリングタイトルの”序章”にあたる部分が先行して発売された作品となっている。 これについて小島氏は、当初はMGSVを1本のタイトルとして発売する予定だったものの、 開発スケジュールと次世代ハード(PlayStation 4、Xbox One)のローンチ時期の兼ね合い等から 分割して発売するに至った旨を話している[注]。 翌年(2015年)に、本篇である『メタルギアソリッドV ファントムペイン(以下、MGSV:TPP)』が発売している。 ストーリー的には前作『メタルギアソリッド ピースウォーカー(2010年発売/以下、MGSPW)』の 直接的な続編であるという側面も強くなっている。
MGSVにおける1つ目のコンセプトが『”フォトリアル”な映像』である。 これまでの作品と比べて3Dグラフィックの精細さが大きく向上しているだけでなく、 ”岩”などのオブジェクトが本物からの3Dキャプチャデータによって作成され、 また物体の現実的な見え方を意識したレベルの高い”ライティング”処理により ゲームプレイシーン、デモシーンの双方が実写と見紛うようなリアルな映像で演出されている。 人物についても、英語版ボイスキャストによる演技と同時進行で ”フェイシャルキャプチャ”技術によって取得した表情の動きをキャラクターにも反映させ、 また”スネーク”のような従来からのキャラクター以外に関しては、 実在する人間の3Dキャプチャデータをもとにその容貌が作成されている。 そのため日本語版音声の収録に関しては、 尺や口の動きの近さを考慮した台詞の作成も含め、洋画の吹き替えに近い手法となっている。 また、このフォトリアルを活かすために、 難易度は上昇してしまうが画面上に表示される各種UIの表示をオフにできるようになっている。
2つ目のコンセプトが、『リアルな潜入シミュレータ』である。 MGSVは、これまでのシリーズのように決められたルートが存在する”リニア”なゲームとは異なっており、 大きく開かれたゲームステージの中で プレイヤーが自分の判断でルートを切り拓き潜入ミッションを遂行していけるようなゲームデザインが採用されている。 その本質は、オープンワールド方式となった本篇MGSV:TPPで発揮されているが、 ある程度シチュエーションが固定された本作MGSV:GZにおいてもその自由度の一端は体感することができ、 リニアなメタルギアとオープンワールドなメタルギアの架け橋を担うような作品となっている。
基本的な操作性は『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット(2008年発売)』、 MGSPWのものが踏襲されているが、 本作から追加された操作も多く存在する。 主なものは以下の通り。
また、『カセットテープ』システムによって、 ストーリーをより深く理解・補完するための情報は 音声ファイルとしてゲーム本編から切り出されていることも特徴である。 そのため、デモシーンにおける情報量はストーリーの大筋が分かる程度に抑えられており、 ゲームプレイそのもののテンポが向上している。 また、前作MGSPWの『ブリーフィング・ファイル』に収録された一部音声や、 同じくMGSPWのドラマCD『平和と和平のブルース』のストーリーパートが全編収録されている。
ちなみに、本作でもMGSPWと同じく 『タクティカル・エスピオナージ・オペレーション』のジャンルが掲げられている。 本作でも一部シミュレーション的な要素を含んでいるものの、 その真価は先述の”自由潜入”と同じく、本篇MGSV:TPPに持ち越される形になっている。
1975年。米国・CIAが中米で展開した軍事計画に端を発する 『ピースウォーカー事件(メタルギアソリッド ピースウォーカー)』が終結してから4ヶ月が経過。 同事件を経て、伝説の兵士”BIGBOSS”こと ”スネーク”の率いる、”どの国家にも帰属しない”私兵軍隊[注]は、 カリブ海沖に巨大なプラント(マザーベース)を構えるまでにその規模を拡大し、ついには核を所有するに至っていた。 やがて彼らの組織に対し、国連のIAEA(国際原子力機関)からの核査察の申し入れが舞い込んでくる。 NPT(核拡散防止条約)に加盟していないどころか 国家ですらない民間の軍隊に対する査察という事態に、スネークらは意図を図りかね訝しむ。 さらに、彼らが核を保有しているという情報が外部に漏れた経緯も不明なままであった。
時を同じくして、先の事件でスネークらと対立し 生死不明となっていた女性諜報員”パス”の生存が確認された。 彼女は、キューバ南端に米国が”租借”している土地に建設された軍事施設に囚えられ、尋問を受けているという。 キューバ、米国のいずれの法も通用しない かの地におけるパスへの尋問は、過酷を極めていると思われた。 さらに、かつてスネークの部隊と行動を共にし、パスに想いを寄せていた少年”チコ”はこの知らせを受け、 無謀にも単独で彼女の救出に向かい、彼も同施設に囚われてしまう。
まもなく、チコからスネークに対して助けを求める無線連絡が入る。 核査察を迎え入れようとしているマザーベースを背に、スネークはパスとチコを救出するため キューバの米軍基地へと単身潜入する。 だがそれは、後のスネークの運命を決定づける惨禍の発端だった。
人物名をクリックするとネタバレを多く含むページへと移動するため、ゲームを未プレイの方は要注意。
前作『メタルギアソリッド ピースウォーカー(2010年発売/以下、MGSPW)』の ストーリー、および本作MGSV:GZの開始に至るまでの繋がりをテキストで読むことができるモード(『BACKSTORY』)。 MGSPWで使用されたものも含め、”新川洋司”氏によるイラストが表示され、専用のBGMも流れる。 なお、MGSPWのストーリーは概要だが、 その結末までが記載されているため、未プレイの方は注意。
本作のゲームステージ(米軍基地)で ストーリー本編とは異なるミッションをプレイできるゲームモード。 ミッションは4種類。それぞれ簡単なストーリーも描かれるが、 いずれも本編とはパラレルな世界観になっており、 劇中では『ありえたかもしれない もうひとつの擬史』というテロップが表示される。 本編では夜間・雨天というシチュエーションであったが、 このSIDE OPSでは異なる時間帯・天候も用意されている。
なお、次作『メタルギアソリッドV ファントムペイン(2015年発売)』における ”SIDE OPS”は本編の一部のような形となっている。
『メタルギアソリッド(1998年発売/以下、MGS1)』の”デジャヴ(déjà-vu/既視感)”をテーマとした特別なミッション。 SIDE OPSと同じくゲーム本編のステージ(米軍基地)が舞台となり、 ストーリー的には本編とパラレルになっている(『ありえたかもしれない もうひとつの擬史』)。 ステージ中に配置された仕掛けを見つけ、MGS1のシーンを再現することが目的となる。
なお、難易度『NORMAL』クリア時のクイズに全問正解すると プレイヤーキャラクターがMGS1における”ローポリゴン”な”ソリッド・スネーク”に変わり、 さらに難易度『HARD』クリア時のクイズに全問正解すると同じくローポリゴンな”サイボーグ忍者”を操作できる。 サイボーグ忍者は特殊アクション”高速ダッシュ”を持つ。 また、いずれの場合でもステージ内に存在する敵兵が”ゲノム兵”、 捕虜が”ドナルド・アンダーソン”と”ケネス・ベイカー”に変更される。 彼らもMGS1と同じローポリゴンな姿が再現されている。
ちなみに、本コンテンツは当初PlayStation 4版、PlayStation 3版にのみ収録され、 後にXbox One版、Xbox 360版向けにもダウンロード配信が行われた。 なお後項で紹介している『メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ+ファントムペイン』では 対応プラットフォームが減っているが、いずれでも最初から収録されている。
『メタルギア ライジング リベンジェンス(2013年発売/MGR)』に登場した サイボーグ兵士”雷電”をプレイヤーキャラクターとした特別なミッション。 SIDE OPSと同じくゲーム本編のステージ(米軍基地)が舞台となり、 ストーリー的には本編とパラレルになっている(『ありえたかもしれない もうひとつの擬史』)。 BGMもMGRのものが使用されている。 また本ミッションは、1988年に”小島秀夫”氏が手掛けたゲーム『SNATCHER(スナッチャー)』のセルフオマージュにもなっている。 『スナッチャー』は原作とは異なり人間にすり替わる謎の知性体として描かれており、 ステージ内で海兵隊員になりすましているスナッチャーを殲滅することが目的となる。 なお、雷電は特殊アクション”高速ダッシュ”を持つが、 MGR本編ほどの身体能力は再現されておらず、”高周波ブレード”も使用できない。 ”ジャメヴ(jamais-vu)”は『未視感』を意味する。
ちなみに、本コンテンツは当初Xbox One版、Xbox 360版にのみ収録され、 後にPlayStation 4版、PlayStation 3版向けにもダウンロード配信が行われた。 なお後項で紹介している『メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ+ファントムペイン』では 対応プラットフォームが減っているが、いずれでも最初から収録されている。
当時、本作の発売に合わせ、iOS、Androidが搭載されたスマート端末向けに『コンパニオンアプリ』が配信された。 同アプリではLAN(ローカルエリアネットワーク)経由でゲーム機本体と通信し、 本編との連動コンテンツを利用することが出来た。ただし、Steam版は未対応。 一部、専用サーバによるオンラインサービスも含まれている。
2018年9月1日をもってアプリの配信は終了しているため[注]、 2021年現在はすでに利用することができない。
利用できたコンテンツは以下の通り。
本作の日本国内版ソフトにおけるキャストを掲載している。 なお、表記はゲーム中のクレジットに準拠している。 ただし、元がアルファベット表記のキャスト名について 本項ではカタカナ表記としている。
掲載の都合上、一部軽微なネタバレを含むため、ゲームを未プレイの方は要注意。
役名 | 声優 |
モーションアクター (フェイシャル) | |
モーションアクター | |
スネーク | 大塚明夫 |
キーファー・サザーランド | |
エリック・ブラウン | |
カズヒラ・ミラー | 杉田智和 |
ロビン・アトキン・ダウンズ | |
エリック・ボシック | |
パス | 水樹奈々 |
タラ・ストロング | |
サバンナ・ダニエルス | |
チコ | 井上喜久子 |
アントニー・デル・リオ | |
クレイトン・マーティン | |
スカルフェイス | 土師孝也 |
ジェームズ・ホラン | |
ブレイク・クロフォード | |
ヒューイ | 田中秀幸 |
(音声のみ) | |
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HIDEO | 小島秀夫 |
(クレジットなし) | |
小島秀夫 |
なお声優について、一部上記の表との対応が難しい特殊な役がクレジットされているため、 以下に分けて掲載する。
役名 | 声優 |
iDroid (音声ガイド) | ドナ・バーク |
同じくモーションアクターについても、 一部の特殊な役は以下に分けて掲載する。
役名 | モーションアクター |
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スタント (CQCアクション) | 毛利元貞 |
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本作(MGSV:GZ)は”メタルギアソリッド”シリーズの正式なナンバリングタイトルである。 メタルギアシリーズ全体では8つ目の”小島秀夫監督作品(A HIDEO KOJIMA GAME)”として数えられ、 いわゆる正史シリーズの中核を構成する作品の一つとなっている。
本作は『METAL GEAR SOLID V(=5)』という作品の”序章”という位置づけになっており、1作で物語が完結しておらず、 その本編として翌年(2015年)に『メタルギアソリッドV ファントムペイン(以下、MGSV:TPP)』が発売している。 また同時に、本作のストーリーは前作である『メタルギアソリッド ピースウォーカー(2010年発売/以下、MGSPW)』の直接的な続編という側面も強く、 MGSPWとMGSV:TPPをつなぐ架け橋を担っている。
他作品との時系列的な繋がりについては 『正史シリーズの時系列と年表』のページ等で解説しているが、 シリーズをプレイしていない場合には重大なネタバレが含まれるため注意。
日本国内版のソフトのバリエーションを紹介する。
なお、デジタルコンテンツが入手できる”ダウンロードコード”の付属については記載を割愛している。 後に各ダウンロードコンテンツをあらかじめ収録して発売された 『メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ+ファントムペイン(2016年発売)』の作品紹介ページに その概要を記載している。
ゲームソフトの他に特典(後述)が付属している、 ショッピングサイト『Amazon.co.jp』での限定販売パッケージ。 以下、ゲームディスクの内容は『通常パッケージ』と同じであるため、メディアは省略する。
付属している特典は以下の2つ。
コナミの公式ショッピングサイト『コナミスタイル』で限定販売された商品。 一般販売されている『METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES PLAYARTS改 スネーク』の 特製メタリックカラーバージョンがセットになっている。 以下、ゲームディスクの内容は『通常パッケージ』と同じであるため、メディアは省略する。
PUMAとのコラボレーションにより、 『T7 Track Jacket』の限定仕様バージョンがセットになった商品。 次作『メタルギアソリッドV ファントムペイン(2015年発売)』に登場する部隊章が描かれている。 本商品もコナミの公式ショッピングサイト『コナミスタイル』限定であり、 実際の商品名は『PUMA®×METAL GEAR SOLID V T7 Track Jacket(コナミスタイル限定版)』となっている。 各プラットフォームごとに、ジャケットのサイズがM, L, Oのセットが用意された。
以下、ゲームディスクの内容は『通常パッケージ』と同じであるため、メディアは省略する。
ソニーストア限定で販売された、PlayStation 4版ゲームソフトと、 『FOX部隊』の部隊章がレーザー刻印されたHDDベイカバー付きPS4本体が同梱になった数量限定版。 以下、ゲームディスクの内容は『通常パッケージ』と同じであるため、メディアは省略する。
各種パッケージ版と同時に、 それぞれ『PlayStation Store』、『Xbox Store(2021年現在:Microsoft Store)』にて ダウンロード版も発売されている。 当時の価格は、PlayStation 4版、PlayStation 3版が税込:2,480円(当時税率5%)、 Xbox 360版が税込:2,499円(当時税率5%)[注]。
Xbox One版はパッケージが発売しておらず、 『Xbox Store(2021年現在:Microsoft Store)』におけるダウンロード版の販売のみとなっている。 発売日は2014年9月4日[注]。 当時の価格は 税込:2,499円(当時税率5%)[注]。
ゲーム配信サービス『Steam』でも本作が配信されている。 対応プラットフォームはWindows。 発売日は2014年12月18日(日本時間)[注]。 当時の価格は 税込:2,480円(当時税率5%)[注]。
2016年に、本作MGSV:GZと本編である『メタルギアソリッドV ファントムペイン(2015年発売)』の 2作品を統合したゲームソフトが発売している。 ただし、PlayStation 3、Xbox 360には対応していない。 ゲームの内容に変更はないが、2作品の各種ダウンロードコンテンツがあらかじめ収録されている。
プラットフォーム |
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備考 | PlayStation 4のパッケージ版では 2作品が同一ディスクにまとめられた独自の仕様になっている。 |
本作で登場するスネークの私兵軍隊は 前作『メタルギアソリッド ピースウォーカー(2010年発売/以下、MGSPW)』で登場する 『国境なき軍隊(通称:MSF)』と同一のものであるが、本作以降の作品ではその呼称は登場しなくなっている。 公式からその理由は明示されていないが、MGSPWの『HD EDITION(2011年発売)』において 現実に存在する国際NGO団体『国境なき医師団(通称:同じくMSF)』との関連がない旨を説明するテロップが追加されていることから、 同団体から何らかの指摘を受けた可能性などが考えられる。 ちなみに、MGSPWのノベライズ作品(”野島一人”著)でも組織の呼称が変更されている。